『文に当たる』牟田都子

 昨年2025年9月の「梅屋敷ブックフェスタ」の2週目にうかがった時、入り口で入場料500円を支払ってすぐが牟田むた都子さとこさんのブースだった。牟田さんは Twitter でポストされているのを一方的に見させていただいていたのでその方が突然現れたように感じてしまいちょっとびっくりしてしまった。いや、ブックフェスタのポスターには出店者のお名前は載っていたのでそんなのわかっていただろうと言われるべきところなのだが。

 

 一昨年から個人の出版ブランド「路傍の文学」を始めていて校正と校閲は自己で行っている。誤字脱字や用語の揺れについては ローカルPCに大規模言語モデル環境(いわゆる LLM)を構築して運用を検討しているというような状況。いずれにせよセルフ運用である状況は当面続くであるとおもう。そういう状況で、プロの校正家に仕事を依頼するというのは、それぐらいの費用を拠出できるようになるのは今はまだ難しいけれどいずれ……という、まだ遠いところにある目標であったりする。なので突然牟田さんから直接御著書を購入できるという状況は私にとっては挙動不審にならざるを得ない状況だった。選んで購入したのは『文にあたる』。校正や校閲そのものについて、あるいは校正に関係ある事柄について言及のある文を引用しつつ牟田さんの考えを綴られてある。

 

 今年2026年4月に創刊された雑誌『大田文学』に寄稿した拙文は既刊の『内川逍遥』で発表済みの作品だったが紙面を作る作業の中でのチェックで「なんでその記述揺れを見逃していたのか……」という箇所があった。なので校正者、校閲者が常に対峙するプレッシャーのごく一部に私も直面したことがあって、その直面の瞬間に私は『文にあたる』で読んだことを思い出していた。

 

 購入の際にひとことふたことお話しすることができたのだけれど、もうちょっと話が弾むように準備しておければよかったのかなとおもう。

 

 

 

南馬込萬福寺前の家

  萬福寺は大田区南馬込一丁目、住宅地のなかにある古刹である。その山門を出で前の道路を挟んだ正面にあった家が昨年二〇二五年に取り壊された。萬福寺の門前は変形の五叉路になっているが、その角に位置していた場所で往年の姿はこんな様子だった。

 

 


 私が馬込に来た時から人がお住まいであるような様子はこの建物からは窺えず、壁に地元の老人会の案内のような看板が出してあったり火事などの時に使うのだろうか梯子が壁に備え付けてあったりしていたもので集会所のような場所なのかとも思ったがそれにしても人の気配がなかった。

 

 ただ、一度だけでかつ正確な年月日も記録、記憶ともしていないがご夫婦と小学生らしい姉弟きょうだいが「久しぶりだね!」と言いながらわいわい建物に入って行くところに偶然遭遇したことがあって、やはり個人の所有でずっと空き家なのかな、と思い直したりしていた。

 

 二階の戸袋が鉄製だろうか、竹のレリーフが施してあるもので味があるなといつも思ってみていた。この戸袋も廃棄されてしまったのだろうが、今あんなものを作っている業者さんがおられるのか疑問でこういう文化財とは言えない、民俗資料にはなり得るかもしれない、といったものを遺すのは難しい。

 

 半年ほど更地になってそのままになっていたがそのうちに車が停めているのを目にするようになり、二〇二六年に入って舗装されて駐車場になった。萬福寺前に事務所を構えておられる建設会社さんが使っておられるようにみえる。元々建設会社さんの所有だったのか、この度取得されたのかは機会があれば調べておこうかぐらいに思っている。

 

2026年6月現在の馬込萬福寺前

馬込の失われた建物たちシリーズ

 

 

 

 

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馬込文士村演劇祭2025 ブックフェアについてもうちょっと世に広めたい - 振り返り

 2025年12月20日(土)、21日(日)に開催された馬込文士村演劇祭のブックフェア、トークイベントに行ってきた。ブックフェアの会場に出ていたカフェや、会場となった大田文化の森前の広場に出たキッチンカーでも買い物をした。参加しているなかで「運営から集客に苦戦している状況という話を聞いた」というような情報に接したことがある一方で、イベントらしい売上記録が出たという話も出店された方から聞くことができたりもした。演劇祭の観客をブックフェアにも誘導するようにされていたのは運用上予定されていたのだろうがもしかしたらそれだけでは足りていなかった、ただブックフェアと同じ会場で柴田元幸さんの朗読会、「カフェ昔日の客」関口さんと夏葉社島田潤一郎さんのトークイベントを開催したのは効果的で来客は本を買いお茶をしていったのかと推測している。

 

 ただイベント全体として見れば反省点があったはずで、このイベントが今後も続けられるのであればそれは主催者である公益財団法人大田区文化振興協会で今回の結果分析と改善案が用意されるべきだとおもうのだが部外者が勝手に振り返りを書いてみたい。

 

 ……ということを昨年の12月末に書き始めて長くなり、かつ途切れ途切れに書き足していった結果3か月ほど経ってしまった。今更だが公開する。

 

今後も「馬込文士村演劇祭」として開催されるとして

 演劇祭が今後も続くとして、そして今回のブックフェアのようなイベントを包含して開催していくとした場合、やはり場所は今回の大田文化の森になるだろうか。

 

 今回出店された出版社の方と話しているなかで、「駅からちょっと遠いですよね」という感想をいただいて地元民としては苦笑いするしかなかった。これまでにも書いているが大森駅から大田文化の森がある大田区中央、春日橋より西側までの距離は佐多稲子をして嘆かしめたぐらいの距離はある。駅との行き来はバスがお勧めだがバスというのは路線選びが時に難しく初めてその地を訪れる人に優しいとはいえない。それでも次回もこの場所になるかもしれないのだがそれはこの施設が劇場施設を擁しているからにほかならない。

 

 他にないかというと、候補になりそうなのは二か所ある。一箇所は最近JR大森駅にほど近い入新井第一小学校を再開発してできた「スマイル大森」という施設で、大田文化の森と同様に区の施設になっている。ここの多目的室は舞台を備えていて演劇につかえないことはなさそうに見えるが専用設備ではないように見えるので音響などがどうなのかによる気がする。

 

 もう一箇所はやがり大森駅近く、山王側にある天祖神社の階段をあがってすぐにある日本芸術専門学校の施設である「山王ヒルズホール」でこれは専用設備だが区の施設ではなく、演劇以外のイベントを同じ場所で開催するのは難しいかもしれない。

 

「馬込」の縛りを外せば蒲田駅前の大田区民ホールアプリコ、下丸子駅前にある大田区民プラザまで候補に入れられるのだが。

 

ブックフェア単体で行うとしたら

 劇場施設に縛られずブックフェアを主体に行えるとしたら開催場所の選択肢は広げられる。場所は出来れば交通の便を考えて鉄道駅の近くが良いだろう。いくつか候補を挙げてみる。

 

JR大森駅

 前述の「スマイル大森」は新しい施設でもあり会場に適していそうな気がする。さらに大森駅に近い施設がないかというと駅前の大森銀座商店街「Mills(ミルパ)」にある「Luz大森」(ラズおおもり)も候補に出来るように思う。大田区立入新井図書館と同じ4階に大田区入新井集会室がある。

 

都営地下鉄浅草線馬込駅

 先日「カフェ昔日の客」でコーヒーをいただきなが話していた時に奥様が「馬込図書館はすごい施設なのに十分に評価されてないと思う。あんなにすごいのに」と話されて、私も深く首肯したということがあった。

 

 大田区立馬込図書館は1971年(昭和46年)に開館した施設で、同じく図書館施設を備えた大田文化の森やLuz大森に比べると古い施設だということになる。馬込駅のA1出口を出て環七通りを渡ったすぐの場所にある。ぱっと見た感じなにがすごいのかが伝わりにくい施設かもしれない。だが馬込図書館がすごいのは持っている機能とコンテンツにある。

 

 まず馬込図書館2階に「馬込文士村資料室」という棚がある。馬込に居住したことがあるなど縁のある作家の作品をあつめており、返却時に馬込図書館の窓口に返却するという制限はあるものの借りることもできる。今はただの住宅地となっている馬込の文学面・芸術面の歴史的な集積を実際に手に取ってみることができる。私などは日常的に使わせてもらっていて当たり前になっているのだが、これを実現しているということはもっと世に喧伝しても良い。

 

 ちょっと脱線するがJR大森駅と大田文化の森の間あたりにあるメガドン・キホーテ大森山王店が「ダイシン百貨店」だった時、旧店舗をリニューアルして今の建物に建て替えたことがあった。直ぐに時期を思い出せないが 2010 年~ 2015 年頃だったかとおもう。「ダイシン百貨店」には書籍売り場があり、リニューアル後の書籍売り場をカフェコーナーを備えた今どきの店内であったが、この書籍売り場が「馬込文士村コーナー」の棚を用意していた。残念なことに1年経たないぐらいでこのコーナーは無くなってしまったと記憶しているのだが、あまり売上に貢献しなかったのだろうと推測している。確かに古書店ならば継続できるのかもしれないが新刊書店で継続していくには結構な覚悟が必要となる棚であったかもしれない。それが馬込図書館に行けば馬込近辺に居住履歴があった作家については網羅的に作品が集められ継続運用されているわけで、本を読むものとしてはこれほどありがたい場所はない。

 

 さらに馬込図書館は近くに居を構えられていた城昌幸(城左門)氏の蔵書寄贈による「城昌幸記念文庫」を擁する。現在は閉架だが図書館内であれば貴重な資料にあたることが可能である。城昌幸は詩人であり、ショート・ショートという形式の作品の本邦における先駆者であり、人気作品となり映像化もされた「若さま侍捕物手帖」の作者という多彩な面を持つ小説家である。

 

 馬込図書館は3階に会議室もあり、そこを使って講演企画などもされている。ブックフェアのような本の売買を伴うイベントの開催例はないかもしれないが、検討の余地はあるのではないだろうか。

 

都営地下鉄浅草線西馬込駅

 馬込駅のひとつ隣、浅草線始発駅の西馬込駅だと駅の改札を出てすぐ前、第二京浜道沿いに大田区の施設「ライフコミュニティ西馬込」がある。地元の人からすると「あの1階にトレーニング施設があるとこ」という感じだが上の階に特別研修室があり、ある程度のイベントは開催できるかとおもう。

 

東急池上線池上駅

 馬込の隣、池上になると駅から本門寺の参道をあるいて山門の前を少し奥に行くので少し離れてはいるが大田区の施設として「池上会館」がある。多目的室、集会室、会議室と設備はきちんとしていて、大田文化の森、スマイル大森と同様のキャパシティがあるのではないかとおもう。ただし、一部施設の耐震補強工事が入るようで集会室と西館が今年いっぱい、あるいは今年度中使えないといった状況ではあるらしい。

 

 あと、これはこのあと述べるのだが駅から少し距離がある施設として池上会館と大田文化の森を比べた場合、池上会館の場合道すがらにある本門寺およびその参道には距離を忘れさせる効果がありそう、ということが挙げられるかとおもう。

 

 

大田区は訪れるべきまちだろうか

 演劇祭なりブックフェアなりのイベントがそもそも訪れる目的として成立するのが望ましいのだけれど、開催地が大田区であったとしてわざわざ訪れたいようなまちであるだろうか、と問われれば地元の人間としては「あるんじゃないの?」と答える。ただ、区外の方からみれば必ずしもそうではないかもしれない。それについてはひとつはアピールが十分ではないんじゃない? ということはあるのかもしれない。

 

 このことについては昨年蒲田にあった「大田区観光情報センター」が閉館になった、ということなどからも伺い知れる気がする。羽田から来た、国内だけでなく海外からの旅行客も対象にということで用意された施設だったのだろうが、羽田空港におり立った旅人は最初から蒲田を目的にしていない限りにおいては蒲田は素通りして電車を乗り換えたりバスに乗ったりして宿泊地に向かうのだろうと思われということはなかなか使われることがなかったのだろう。さらに現大田区政は蒲蒲線( 800 メートルほど離れている京急蒲田駅と東急蒲田を相互乗り入れして利便性を高めることを目的に構想されている鉄道路線)に前向きであって旅行客が大田区を通り過ぎる方向であることからもそのちぐはぐさは際立つ。

 

 旅行客へのアピールについては今は Instagram や Tiktok、 Youtube といったソーシャルネットワークサービスをうまく使うというのがひとつのやり方になるのだろうとおもう。そのうえで各鉄道駅に対面で案内を乞えるような仕組みをある程度のコストをかけてやるというのが大田区が取り得る施策ではないかとおもう。

 

 というのは観光情報センターのような施設が有効なのは旅で訪れるべきである場所がある程度まとまっているような場合で、大田区はそうではないまちなんじゃないか、という認識がある。大田区は観に行く、体験する場所というのはあるのだけれどそれがそれなりの広さを持つ区域に散在していて総体としては薄まって見えてしまいかねないし、「観光情報センター」ではカバーし辛いだろう。

 

 ならどうするのか、と言われて答えを持っているわけではないのだが、ここではわざわざ行くに値しそうなテーマをあげてみたい。それをつなげることでいくつかのツアープランができると良いなとおもう。

 

街並み・商店街

 大森駅付近はいくつもの商店街があるわけだがどこにでもありそうな商店街ともいえる。あえて言えば過去に複数のテレビコマーシャルやドラマでロケ地として使われてきた大森銀座商店街(Milpa)だろうか。以下など参照。

 

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 大森界隈で他に目を向けるとやはり地獄谷じごくだにかな……という気がする。この辺りのJR東海道線および京浜東北線は紀元前の縄文時代あたりの海岸線付近を通っており、北側が急に上がるような地形になっている。地獄台は線路沿いを通る池上通りから階段を下りて行かないと辿り着かない、池上通りと線路の間にある崖の途中の狭い土地に飲み屋がびっしりと集まっているという飲み屋街の通称である。

 

 実は大森駅近辺は再開発の計画がすでに決まっており、地獄谷も再開発エリアに含まれて存続については風前の灯となっている。聞いている限り現在のような飲み屋街として残すような方向性は検討されておらず大森として特徴のある風景は無くなる公算が高い。それでなくとも前述の大森銀座商店街内にあった「朝から飲める」という狂った感じの飲み屋は「酒蔵一番」も「富士川」もパンデミックを経て閉店してしまい、飲み屋街としての大森界隈の個性をどう存続させ得るのかというのは「わざわざ来るまちであるか」という観点でも必要になるかとおもう。

 

 まぁそういう飲み屋街としての個性は蒲田側に在り続けており(バーボンロードとか)蒲田周辺は人気店も多い。

 

いわゆる人気店

 ここでは主に飲食店(テイクアウト店含む)が対象としてみる。待ち行列ができるような店を思い浮かべてみるといくつか思いつく。いずれも大森駅周辺。

  • 味のとんかつ丸一 …… とんかつ
  • 天冨久 …… 天ぷら
  • 青麦 …… ラーメン
  • ネコゴオリ …… かき氷

 蒲田まで広げるとあおきなんて有名店があるし、丸一も蒲田店があって餃子ととんかつは名店めぐりマップみたいなものは作れるだろうとおもう。ラーメンも同様。

 

 あとは、駅前ではなく、ちょっと不便なところにも名店は存在したりするのでそれを適度に探して回りやすくするなどできればそれぞれテーマとして成り立ち得るかもしれない。

 

温泉

 東京都内にも温泉は湧いていて大田区は比較的軒数が多いということは時々テレビでも取り上げられるのをみることがある。これも蒲田側が多いのだがボートレース場のところに天然温泉平和島があり、また温泉ありの銭湯として改正湯がある。池上には桜館、久が原にも2軒温泉に入れる銭湯がある。

 

アート

 馬込文士村演劇祭自体もそうなのだが、大田区はアートに関して積極的に支出する方針を採っているように、区民からは見えている。規模は小さいと言えるかもしれないが複数の芸術関連の施設が区内にあり、それらの施設を使った展示活動について意欲的な特別展が行われるようになっており、また設備の拡充が行われている。

 

「美術館」としては川端龍子記念館がまず挙げられる。大田区中央(新井宿)にあり、日本画家川端龍子が生前に建設した美術館と、龍子の自邸兼アトリエがそのまま残されている。近年、高橋龍太郎コレクションとのコラボレーション展示を行うなどわざわざ観に訪れるに足るような特別展を開催している。あとは南馬込の熊谷恒子記念館。これも書家熊谷恒子の自邸が記念館として保存されている。そして、熊谷恒子記念館の道向にあった介護施設の建物が最近大田区立馬込アートギャラリーという施設にリニューアルされた。

 

 また、これも南馬込にある大田区立郷土博物館では川瀬巴水や高橋松亭の展示会を毎年開催している。また過去に「勾玉」「弓矢」といったテーマに絞って特別展を開催しており、こういった特別展もわざわざ観に来る価値があるものだった。

 もうちょっと範囲を広げれば山王の尾﨑士郎記念館山王草堂記念館(徳富蘇峰旧邸)、洗足池のほとりにある勝海舟記念館(旧清明文庫)、南久が原の昭和のくらし記念館といった施設もある。

 

 ここで課題として語らざるを得ないのが、先に述べたお店にせよ、温泉にせよ、各施設にせよ、東京24区のなかでも比較的広い区域を持つ大田区の中に散在していて、区外からわざわざ足を運んでくださった方がいたとしても回り易くはなっていないということ。距離だけではなく、高低差もある複雑な地形をもっており上り下りもある。

 

 お隣品川区で「しなバス」という小型のバスを巡回運航されているが、ああいう小回りが利く公共交通機関を既存とは異なる路線で走らせてはどうか、というのがひとつの案としては考えられるかもしれない。

 

 別の案としては、大田区内の施設を二輪車歓迎に全振りして走行も駐輪もし易いように整備してはどうか、ということも考えられる。交通ルールの遵守が前提はなるだろうが。

 

 いずれの案にせよ初期費用も運用費用もかかるはずで、そういった方向に投資をする余地が区の財政としてあるかどうか、ということについては検証して書いているわけではないのだが、既にある大田区が持っている「財産」を相互に結び付けてこのまちをより栄えさせることができると良いのだけど、という気持ちで書き連ねてみた。

 

馬込文士村演劇祭2025 ブックフェアについてもうちょっと世に広めたい

 ジャーマン通り沿いにある「あんず文庫」さんで「馬込文士村演劇祭2025」のパンフレットをいただいた。今年2025年は12月20日(土)21日(日)の二日間に渡って大田文化の森で行われる演劇がテーマのイベントなのだが今年はプログラムにブックフェアがあり、あんず文庫さんも21日(日)に出店参加されるのだという。

 

www.ota-bunka.or.jp

 

 パンフレットをみると「演劇祭」という名前に収まりきらない良いプログラムになっているように見えていて、ブックフェアだけみてもなかなか良い。私は演劇というものをあまり見てきていないもので昨年まで足が向いていなかったのだが俄然行く気が出てきた。

 

 ただ、あくまでも「演劇祭」のなかの1コーナーなので、どれくらい知られているのか気になってきた。出店者さんはそれぞれ発信されるからある程度届くだろうが、僭越ながら勝手に書いてみることとしてみた。まず出店者さんが列記されているだけだと味気ないのでそれぞれ分かる範囲で紹介してみたい。ここでは書店さんに絞って書いてみる。

 

葉々社ようようしゃ

梅屋敷ブックフェスタの話しでも出てきた独立書店さん。

『青い靴をはいて歩く』 関根 愛 - 椋箚記 参照のこと

 

馬込文士村演劇祭 2025」では協力者として葉々社さんの名前が挙がっているのでブックフェアの開催に良い影響力があったのだと推測している。梅屋敷の葉々社さんの店舗を訪れて棚を見ていると(こんなにどの棚も面白そうだというような店があるのだな)と思う。そういう棚を構成できること自体がすごいことなのだが、葉々社さんは活発に著者や翻訳者を招いてのイベントも継続してお店の別室を使って開催されていてそういった活動実績がブックフェアの開催につながったのだろうと。20日(土)21日(日)とも出店。

 

藤乃屋ふじのや書店

 東急池上線御嶽山駅前すぐにある街の新刊書店が全面改装して、店内に喫茶スペースを備えた独立書店のような趣の店になっているという記事を読んだのは今年の初め頃のことだったろうか。

 

 

 棚はいわゆる「新刊書店」だが入ってすぐにはテーマに沿ったディスプレイが出来るようになっている。またここもイベントも行われていて先日行った時はたまたま菅原敏さんを招いての朗読会がある日でこのあと開催、というところだったが参加者以外のお客さんだろうという方も多く店内を見られていた。どういうラインナップで出店されるのだろう。20日(土)出店。

 

本屋・生活綴方せいかつづつりかた

 東急東横線妙蓮寺駅前にある、石堂書店という新刊書店が、店の向かいの空き店舗を使って開店された書店および出版・製本工房。私個人としては東横線は妙蓮寺隣駅の菊名でJRに乗り換えることが多く、横浜寄りで降りるということがなかなかないものでお名前はときどき目にして存じ上げていたがまだ未踏。藤乃屋書店さんとはまた違うやり方で実績をあげられている。20日(土)出店。

 

電燈でんとうなぎの間

 電燈さんは東急東横線妙蓮寺駅のもうひとつ横浜寄り、白楽駅近くにある独立書店さん。凪の間さんは棚貸しスタイルの書店に棚主として出店されている書店さん。共同でフリーペーパーを出されているというポストを Instagram でみつけた。東横線沿線でも少し家賃が低そうな地域にユニークな書店が現れつつあるのを見ているように感じて面白い。

 

 生活綴方さんと同様に未踏なのだが、お店について調べていてふと思った。電燈のご店主とすれ違ったことあるかもしれない。勘違いかもしれないけれど。20日(土)出店。

 

Maya Books

 梅屋敷の葉々社さんの店内は奥が靴を脱いであがるようになっていてレジもそこにある。また一箱本棚のコーナーがあるのだが Maya Books さんはそこに棚主として出店している古書店さん。20日(土)出店。

 

タバネルブックス

 東急池上線石川台駅近くの住宅街のなかにある古書店。ウェブサイトの About にある「古本を扱うセレクトショップ」という表現の方がしっくりくる気がする。チェコをはじめとするヨーロッパの絵本が並んでいたりするからだ。

 

 石川台にはとても腕の良い小児歯科さんがあり我が家の子供たちもお世話になったので足を運んでいたがタバネルブックスさんができたのが2019年あたりなはずで、その頃には子供たちも成長して小児歯科には、ひいては石川台にはあまり足を運ばなくなっていた。タバネルブックスさんのおかげで時々行くようになりつつある。こちらもお店でイベントを開かれたり、アートの展示をされたりといった活動もされている。21日(日)出店。

 

あんず文庫

 JR大森駅から環七通りに抜けるジャーマン通りと呼ばれる道沿いにある古書店。私としてはここで本を買い店内のカウンターでホットコーヒーかビールを頼んで話をして過ごすのが大事な時間となっている。あんず文庫さんがある場所はかなり以前から古書店が営業し続けていて、そのことはあんず文庫さんが開店されてわりとすぐのころ、2019年に書いたことがある。

 

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 あんず文庫さんもタバネルブックスさんも同じ時期に大田区でスタートしたのは印象的で、両書店さんが大田区で開催されるブックフェアに参加されるというのはとても良い。私が知らないだけで新しい書店がまた生まれようとしているのだと思うが今回のブックフェアでは大田区の主な独立書店がほぼ一堂に会することになる。あんず文庫さんも21日(日)出店。

 

※あと私も未踏だが大岡山、東京科学大学(旧東工大キャンパス前にある青熊書店さんも入ると「ほぼ」は外してよいかも 


 


大田文化の森はJR大森駅からちょっと距離がある。東急池上駅からはさらに距離がある。都営地下鉄浅草線馬込駅からも距離がある。行き方についても簡単に説明しておく。

 

 拙著『内川逍遥』の巻一に採録している「母達の足許」という作品のなかで佐多稲子さんが私小説的な自著のなかで国鉄大森駅から現在の大田文化の森近くにあった自宅までの遠さを複数回嘆いている、ということを書いている。これは普段住んでいる人としての嘆きなわけだが、もし初めて行ってみるという方がおられたとしてやはりちょっと遠いなと感じると思うので。

 

JR大森駅から

 中央改札を出たら右へ、北口改札なら左へ出ると池上通り沿いにバス停がある。以下の路線に乗って「大田文化の森」ないし「大田文化の森・日赤前」で降りると良いです。

  • 森04:池上駅行き ないし 蒲田駅行き
  • 森06:上池上循環外回り
  • 森02:荏原町入口行き
  • 森01:池上警察署行き
  • 森05:池上駅経由洗足池行き

 ※森08:馬込循環には乗らないこと!

東急池上駅から

 駅ビル前に分かりやすくバスターミナルがあります。大森駅行きないし大井町駅行きないし品川駅行きに乗って大田文化の森で降りれば良い。路線でいうと
森04、森05、井03、井09、品94 など。
※池上営業所止まりだと手前までしか行かないので注意!


都営地下鉄浅草線馬込駅

 馬込駅からだとちょっとややこしいけど一応。
 A1出口から外に出ると環七通りに出る。右に行き、マルエツ、ローソン、ケンマートというホームセンターの前を過ぎると上を交差する橋にのぼる階段がある。のぼって道沿いに右にいくとすぐ東急バスの「三本松」というバス停がある。森02:大森操車場行きが来たら乗って大田文化の森でおりる。


シェアバイク

  • ドコモバイクシェア …… 大田文化の森の駐輪場にポートがある
  • LUUP …… 大田文化の森から池上通りをはさんではす向かい、別品屋靴店さんの近くに1か所、あとは池上通りと環七通りが交差する春日橋交差点付近に2か所ポートがある

肉のオダカ

 大田区南馬込に臼田坂という坂の上に「オダカ」という精肉店があった。JR大森駅前から東急大井町線荏原町駅前を行き来している「森02」という略称のバス路線沿いになるため臼田坂の通りを普段「バス通り」と呼称していたりして、その「バス通り」沿いだ。

 

 8月30日に前を通ったらシャッターが閉まっていて売りに出ている旨の貼り紙が出ていて、その後不動産屋さんなのか店の前に人が座っているのは見ていた。それが9月21日に前を通ったらもう更地になってしまっていた。買い手が決まったらしい。下の写真は両日の写真をまとめて instagram にアップしたものだ。更地になった「オダカ」あとの背後に見えるのは「磨墨塚」という塚で、平安時代や鎌倉時代まで時代を遡るとこの地は馬の放牧地・育成地であって梶原景季の愛馬「磨墨」がこの地に由来があるというやや不確かな伝説があるためだいぶ後世になって碑が建てられた場所になっている。それにしてもなんと狭い土地に建っていたんだなと、更地になって気づく。

 

 

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 この「バス通り」沿いを歩いて数分のところには「福好精肉店」という肉屋もあってかつては商店街を成していた形跡があるのだがまたひとつ住宅街化が進んだ。「オダカ」さんは20年前にこのまちにきてすぐくらいにメンチカツを買った記憶があるぐらいであまり買い物をした記憶がない。頼んでから揚げてくださったことだけを覚えている。

 

 約二十年前のお店の状況も今とは少し違っていて、環七沿いの「ライフ」もあちこちにできているイオン系列のミニスーパー「まいますけっと」も無く、西馬込駅方面の「東急ストア」(閉店済み)、「文化堂」(建て替え中でやはり閉店)、桜並木通りの「スーパーキタムラ」(こちらは健在)ぐらいだったろうか。メガドン・キホーテはまだ「ダイシン百貨店」だった。同じバス通りにある「エビナ美容室」で散髪してもらいながら話していて「私らはこの辺りで買い物済ませますよ。キタムラまでも行きません」と仰っていたのを思い出すがそんな感じで二十年前ならまだこの辺りの精肉青果などの店も需要があってなんとかやっていけたのだろう。


 

 

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『青い靴をはいて歩く』 関根 愛

 京急本線の、大森町駅蒲田駅の間に梅屋敷という駅がある。この梅屋敷駅前の商店街から横道に入ってちょっと歩いたところに「葉々社」という書店があって、また駅のそばの京急線の高架の下スペースに「仙六屋カフェ」がある。この2店の共催で、仙六屋カフェの隣のスペースで「梅屋敷ブックフェスタ」というイベントをされている。9月は2週連続で、1週目は書店や出版社が出店、2週目は 500 円の入場料ありで作家さんが出店されるというものだった。

 

 
 
 
 
 
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 1週目にNPO法人HON.jpでの活動のなかでお世話になった仲俣暁生さんが個人出版プロジェクトの「破船房」として出店されていたので自転車を駆って行って購入などしていた。その翌日の日曜日、梅屋敷駅からやはり歩いてすぐのところにある大田総合体育館で大田区の区民スポーツまつりの開会式イベントがあり、大田区合気道連盟の一員として出席していたので帰りに葉々社さんに立ち寄ったのだが、本を購入する際にご店主の小谷さんと少し立ち話をさせていただいた際に梅屋敷ブックフェスタの話しになり「作家さんに読者からのフィードバックを届けると喜ばれる」というお話しを聞いた。作家が出店するというイベントもそういうフードバックを直接成立させられる、という考えからの企画であるわけだが言うは易いものの実現するには色々な障壁を越える必要があるはずでそれを実現させている小谷さんの力量はすごいものだ。そんなことを思ったもので二回目の梅屋敷ブックフェストにも、自転車を走らせて行ってきた。

 

  この日は三冊の本を作家の方から直接購入した。このように作家さんや出版社と至近にやりとりしたうえで本を手に取るという場を作ってもらっているのだから、拙い内容ややり方であったとしてもフィードバックらしきことをしておいてはどうだろうか、という気持ちが出てきて書き始めている。最初は関根せきねめぐみさんの『青い靴をはいてあるく』。

 

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 関根さんのブースで足をとめたのは私が作っているような「ISBNコードを取らないでつくった個人出版の本」に共感があったからだ、とおもう。実は何点か並べられていた関根さんの著書はどれも個人出版であるようなのだが、『青い靴をはいて歩く』の造本は、私が「BCCKS」のオンデマンド印刷サービスを使って作っている自著の造本から比較して(近しい作り方をされている本だな)と思うものだった。手に取ると「他の本はエッセイなんですがそれだけはフィクションなんです」と関根さんは説明してくださった。私はというと普段は随筆作品を読むのが好きなのだが、造本への共感と作者自ら説明してくださったということが何かしら作用して一冊買い求めることにした。

 

 関根さんが「サインしましょうか」と申し出てくださったので是非にとお願いした。私の、ちょっと珍しい姓を伝えるとそれを聞き取って書いてくださった。関根さんの instagram に当日在店されている時の写真があがっているがこの視点で彼女と短い会話を交わしたのだった。この場所、イベントスペースと隣の「仙六屋カフェ」は通路でつながっていて、関根さんのブースはその通路のそばにあったのだが下に何か設置されているのか通路は一段高くなっている。その上からご店主を見下ろす感じだった。

 

Megumi Sekine / 関根 愛 (@megumi___sekine) - Instagram

 サインをしてもらったというだけの理由で「青い靴をはいて歩く」を帰宅して最初に読み始めた。ああ、これはフィクションといっても私の定義するところにおいては私小説なのだなきっと、と気づく。こういう三人称で書いた私小説というものは初めて読んだようにおもう。これも購入するときに説明してもらったのだが、人生の様々な場面でその時の靴を履く。靴から惹起される思い出は甘いものではなく、自分で靴を選べるようになってきているはずなのに呪縛にとらわれるような思いをする。

 

 私小説というものは時に鋭い刃になるので、本当にこれを私小説だと思って読んで、そして感想を述べて良いのだろうかという迷いが読み終わった時に生じていて、「家族というものがどうあるべきか」ということを問うた創作として読むことで自分を落ち着かせようかと考えている。

おはなしレコードの記憶

 妻が「ハロルドとモード」という朗読劇の観劇に行ってきた。主役は黒柳徹子さん。相手役が Travis Japan七五三掛しめかけ龍也さん。帰ってきて妻は「黒柳さんがまだあんなに歌えるのはすごい」と感想を教えてくれた。

 

 黒柳さんはテレビの冠番組徹子の部屋」で毎日のようにお顔をみることができる方なわけだが自分が子供の時からテレビに出演してらっしゃる方でもあるのでお年を召したな、と勝手なことを思ったりする。でもそれは一面的な感じ方であって、舞台においてはいきいきとした表現者としての姿をみせていただくことができたようだった。

 

 私はというと黒柳徹子さんについては、幼い頃に親が購入してくれたお話レコードのことを思い出す。何話かがセットになっていたのだが、一番記憶に残っているお話しが「革靴国の女王様と自動車国の王様の諍いを主人公の僕が諫める」という内容のものでこの革靴国の女王様の声優が黒柳徹子さんだった。最も聴いていた幼稚園時代まで、私が黒柳徹子さんについて知っていたとは思えず、小学生にあがってから親に言われて(ああ、そうなのか)と気が付いたのだろうとおもう。幼稚園にあがる前に住んでいた阪急塚口駅近くの線路沿いの文化住宅の一室か、親が奈良市学園前に建てた実家のリビングでジャケットを眺めながらレコードプレーヤーの前で聴いていたのだろう。奈良の西登美ケ丘という住宅街にあった実家は山口の実家に戻った親が何年も前に売却しており、その時点でこのおはなしレコードが棚に残っていたのかどうか定かではなく勿論手元には残っていない。

 

 ふと今どきのことだからネットで共有されているのではないだろうかと調べたらこれが見つかった。商品名は「ドレミファブック」、『かわぐつとじどうしゃ』だと分かり、作者兼脚本が井上ひさしさんだったと知って瞠目した。のちに優れた戯曲を数々世に送り出す作家の若き日の作品を聴いていたわけだ。「ひょっこりひょうたん島」と時期がかぶっているぐらいの作品になる。井上ひさしさんの作品目録(著作目録、ではなく)というものがまだ見つけられていないのだが少なくとも Wikipedia 日本語版の彼のページにはこの作品についての記載はない。「井上ひさし公式サイト」に著書一覧がつくられてあるが書籍となった作品しか挙げられていない。

 

 他の出演者は自動車国の王様が柳沢真一さん、主人公が松島みのりさんでいずれも役者、声優として活躍された方だ。松島さんは一番最近の声優としての役でアニメーションの『ONE PIECE』に出てくるベテランの海軍軍人「おつるさん」を演じされているのが目にとまった。メインキャラクターではないが子供に聞いてみたら「ああ、あのキャラ」と分かるぐらいではあるらしい。音楽は宇野誠一郎さんで「ひょっこりひょうたん島」の音楽も担当されている方で「宇野誠一郎 作品集」の収録曲をみると「ふしぎなメルモ」「とんちんかんちん一休さん」「悟空が好き好き」……と私などは「あ、あの曲もか」となる。

 

宇野誠一郎 作品集

宇野誠一郎 作品集

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 さて、井上ひさしさんが2010年4月9日没、宇野誠一郎さんが2011年4月26日没なのでまだ著作権保護期間70年の範囲内になる。Youtube で共有している、ということで多少なりとも収益を得ているのではないか、とみるか、このアカウントの登録者、またこのコンテンツの再生回数であれば収益はほぼあがっておらずむしろ歴史に埋もれつつあるかもしれない作品を世に知らしめようとされている、とみるかだが後者に該当するのではないかなというのが今時点の私見である。井上ひさしさんの全仕事目録とでもいうものが、もし今まだ無いとして今後作られるための、あるいは現在Ⅲまで発売されているらしい宇野誠一郎さんの作品集が今後さらにつくられるとしてその収録曲の情報源となるための礎のひとつになり得るのではないかと考えるからだ。

 

 


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