椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

合気道において結びとは何か

 6月16日の日曜日に足立区綾瀬の東京武道館で開催された、東京都合気道連盟の錬成稽古に参加してきた。指導は入江嘉信師範で二百名弱が参加していた。

 

 稽古の最初の挨拶の際に入江師範は「最近稽古している『結び』と『吸収』についてお話ししたいと思います」ということを仰った。実際の稽古の中で「結び」や「吸収」について具体的に「これだ」ということは説明されなかったのだが、読み取ればここで仰っているのがそうだな、ということは感じられた。

 

 稽古後の更衣室で同じ道場の方同士の会話で「吸収っていうのは分かったけど結びってのが分からなかった」という声があって、それはとても良い問題提起だと思った。「結び」という言葉は合気道では良く使うけれど、実は人によって定義にブレがあるかもしれないと気がついたからだ。

 

「むすび【結び】」を棚にある小学館の国語大辞典でひくとこんな感じである。

 

1. 紐状のものをからみ合せ、巻き込んでつなぐこと。また、そのような状態にしたもの。

2. 両手で水をすくうこと

3. 飯を両手で握り固めたもの。にぎりめし。

4. 焼き飯をいう。女房詞。

5. 人と人とを関係づけて、親しくさせること。

6. 文章、物語などの終わり。結末。

7. 文法で、係り結びの係助詞と呼応して、文を終わらせる語法をいう。

8. 集合における「ジョイン」

 

 どれも厳密にいうと合気道において言う「結び」にはぴたりとは該当せず、敢えて言えば五番目が一番近い。正面打ちを打ち込むのではなく、手刀を合わせた状態から稽古することがあるが、それを「気結び」と呼ぶ場合がある。また、組太刀の基本に「気結びの太刀」がある。以下齋藤守弘師範の模範。

 


【合気道】組太刀の極意【斉藤守弘師範】

 

 これらを受け取って稽古をしてきた私の「結び」の定義は「相手と調和した状態で相対すること」だろうかと何となく、思っていた。例えば私がこう定義したとして、師範の先生方がどう言われるか。そんなにずれることがないかもしれないが、微妙に異なる定義が出てくるかもしれない。もしかしたら、「それは言葉で定義することではない」とかいう意見が出てくることすらあるかもしれない。

 

 取り急ぎ探してみると、菅沼守人師範と遠藤征四郎が指導されている公開動画で、「結び」と言う言葉が出てくるものを見つけた。おふたりとも植芝盛平翁先生の最晩年の内弟子だが偶然だろうか。

 


菅沼守人先生・合気道"結び"の実演2011_11_19

 

 菅沼師範が説明されているのは、片手持ち、あるいは単に掌を合わせた状態で相手との力の方向を合わせた状態のことを「結び」と呼んでおられるように読み取れる。

 

 


Atari and Musubi 07_Seishiro Endo Shihan 当たりと結び07_遠藤征四郎 師範

 

 遠藤師範は、相手が安定した状態で腕を曲げている時、その拳に上から掌を乗せて、そこから合わせて相手を導くことができる、と言うことを説明されている。動画中においては遠藤師範のお話しに「結び」と言う言葉は出てこないが、タイトルが「Atari and Musubi」となっていることから動画前後において「当たり、とはこういうこと、結び、とはこういうこと」とご説明があったのではないかと推測される。相手の拳について上への力に合わせるように(掌で上から押さえるとそれに対して堪えようとする。その力のことを仰っていると思う)ご説明されている、その部分が「結び」になるのではないだろうか。となると、菅沼師範と近いところを「結び」と表現されているように思える。

 

 先ほど掲げた私の定義の範囲内であるとも言えるのだが、実は私としては菅沼師範や遠藤師範が示されているより前の、例えば片手を持った状態、拳に掌を合わせた状態のところを「結び」と捉えるところがあり、先生方の方が「結び」にあたるところが広いように感じている。

 

 ではそもそも開祖はどう仰っていたんだろうと思い、植芝盛平翁先生の口述を何冊が本棚から取り出してきて読み返してみた。主に次の三冊。

 

合気神髄―合気道開祖・植芝盛平語録

合気神髄―合気道開祖・植芝盛平語録

 

 

武産合気

武産合気

 

 

合気道

合気道

 

 

 読みはじめてすぐに思い出したのだが、翁先生が上記の本など晩年の口述において、技の基本について触れるはほとんどない。稽古修行することでひいては世の中をどう良くしていくのか、禊における考え方、古事記など神話に描かれている内容をどう読み解くのか、と言うお話しが主となっている。今回知りたい意図での「結び」についての言及には行き当たらないのだが、それでもちょっと面白いことに気がついた。

 

『合気神髄』は道場における植芝盛平翁先生のお話しを筆録したものであろうと思うのだが、「結び」が頻出している。何箇所か引用する。下線は引用者がつけた。

 

 合気は宇宙組織の玉のひびきをいうのであります。すなわち全大宇宙のことで、小さなことをやっているのではないのです。教育者や年輩者は率先して武道の実践をしなければならないと思います。この道は全部、天に学び、地に学び、宇宙の中心に結んで、また、我々は宇宙とともに進んで、その上に自己の息で全部結ぶことをやり遂げていくのであります。

 我々は魂の気の育成と、また、立て直しをしなければいけません。合気は宇宙組織を我が体内に造りあげていくのです。宇宙組織をことごとく自己の身の内に吸収し、結ぶ。そして世界中の心と結んでいくのであります。仲良く和と統一に結んでいくのです。これからはいうまでもなく戦争をしてはいけない。喧嘩争いはしないこと。すべては結びでやる。それがないと本当の強さは出てきません。それでないと皆さんの稽古が無駄になってしまうのです。

第1章 合気道は魂の学び より 

 

「気の妙用」は、呼吸を微妙に変化さす生親いくおやである。これが武(愛)の本源である。

「気の妙用」によって、心身を統一して、合気道を行ずると、呼吸の微妙な変化は、これによって得られ、業が自由自在にでる。この呼吸の変化は、宇宙に気結び生産いくむすび、そして緒結びされる。

 また、呼吸の微妙な変化が五体に深く喰い込み、喰い入ることによって、五体はその働きを、活発にし、千変万化神変の働きを示すことができる。変化とは違う。

 こうなって、初めて五体の五臓六腑は、熱と光と力が生じ結ばれ、己れの心の意のままになり、宇宙と一体となりやすくなるのである。

 第4章 合気は息の妙法なり より

 

 合気は和と統一に結んでいくのである。梅と松の仕組みである松竹梅の教え。これは何億万年前の昔からの仕事である。これは艮の金神の神の御教え、そして小戸の神業で、真人養成の道である。ホノサワケの島。天の浮島というのは「ア」は自ら、「メ」は巡るといい、自ら巡るというのが天の、浮島の方は……二つのものが水火結んでいく、霊界も顕界も一つにする。

第6章 合気とは禊である より

 

 これらは私が目についたページを引用しただけで、他にも頻出している。

 

 一方で、同じく口述筆記本である『武産合気』でも「結び」の語は出てくるのだが、かなり少ない、というのが今回気がついたことで、『合気神髄』と何が違うのか、ということになる。『武産合気』は白光真宏会の髙橋英雄さんが筆記されたもので、五井昌久さんと植芝盛平翁先生が親しかったことから口述筆記が実現している。つまり『武産合気』では翁先生は髙橋さんがおられる前提でお話しされている、というところに違いがある。「合気道とはこういうものです」ということを稽古していないひとに説明されているのと、五井昌久先生のもとで信仰の道にあるのと合気道の稽古しているのと共通する、大きな目標のようなものについて語られている部分とがあるように読める。となると例え概念的なお話をされていたのであっても「稽古において相手と向き合っている」という具体的な状況を前提に説明する場合において「結び」ということばを使う必要があった、ということは言える気がする。

 

 技において「結び」ということばが使われかを知るために三冊目の『合気道』も読んだ。本当は『武道』にあたるべきなのだろうが、これは市販されているような書物ではない。直弟子の師範の方にお持ちである方がおられるという、免許皆伝書に近いようなもので、齋藤守弘師範は必ずこれを携行されてご自分の説明と合っているか、というのを稽古参加者と共有されるのに使われていた。他にもお持ちであるという師範のお話しを聞いたことはあるが、公にされていなかったりするのでここではお名前を挙げない……などという配慮が必要な書物であり、棚にある植芝吉祥丸前道主のこの著書に当たった。残念ながら全く出てきておらず、「結びとは」というようなことについては口述でしか説明はされなかったのではないかと推測せざるを得ないという結論になった。

 

 という自分なりの「結び」についての研究を経たうえで改めて入江師範の演武動画を見させていただいている。なお「吸収」についてだけれど、相手と「結んだ」状態から相手に近づく際に、力が入ったままだとぶつかって跳ね返されたりする。そうならぬよう相手に近づくには、相手と「結んだ」まま、自分は力を抜いて相手の力をもらいつつ動くようになる。その動きのことを仰られていると理解している。

 


IRIE Yoshinobu - 57th All Japan Aikido Demonstration 2019

入り身投げの表と裏

 少し前に大田区合気道会での稽古が終わった後に「入り身投げの表って知っていますか」と聞かれて、それがどうやら私が大阪市立大学で稽古していた入り投げの形に近いものらしい、ということが分かったので少し書いておきたい。

 

 最初に合気道とか特にご存知のない皆さんに書いておくと、合気道において「表技」とは相手の前側に導くことをいい「裏技」は相手の背後側に導く技を指す。厨二病的に「普段稽古するのが表で、実は裏技がある」とかいう格好良い言葉ではない。

 

 入り身投げにおいては、通常表とか裏とか言うことがあまりない。基本技として初心者から高段位者まで繰り返し稽古するが、相手の背後に導く形が基本で稽古することが圧倒的に多いからだ。齋藤守弘師範の模範演武の映像から説明すると、正面打ちから相手の背後に入り身をする。

 

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 ここから上方に相手を導き、相手の顔に腕を重ねるようにして背後に倒すという説明になろうかと思う。

 

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 この齋藤先生の入り身投げが私は好きなのだが、普段の稽古では相手の背後に入り身した際にさらに背後に円を描きつつ流し、そこから返す形を稽古している。その例として植芝守央道主の演武映像も見させていただいたのだが、道主は流れの中で投げる際に相手の背後に回り込みながら投げるようにされる。これは隙のない投げだが説明上例としてあげるには難しく引用を断念した。 以下は上記齋藤守弘師範の画像の元映像。

 


Morihiro Saito Sensei. Shomen Uchi

 

 では道場で話題となった「入り身投げの表技」はどうかというと、入り身をして相手の背後に入るところまでは同じと考えて良い。そこから入り身した足を元に戻すようにして投げる。これが「表技」かというと考えてしまうが、足を戻す際に相手の前面に入っていると言えなくもないかもしれない。ただ道場で話している際にも「そっちが裏じゃないですか」とか異論が出ていたのでこの、表技・裏技の呼称が正式なものか今もって自信がない。

 

 大阪市立大学合気道部で稽古していた入り身投げだが、この度「入り身投げの表」の名で近いものを知るまで他で目にしたことがない。市大合気道部は阿部醒石師範門下だが、初期に藤平光一師範の指導を仰いだ先輩がおられるので心身統一合気道の何らかの影響があるのだろうか、とぼんやり思っていた。

 

 しかし改めて藤平光一師範の公開されている映像を見直して見ると、現在私などが稽古している入り身投げと変わらないものもある。また、すーっと上に導いてすとんと下に落とす、という形が多いような印象を持った。ただ、なかにひとつ近いものがあった。以下にやはり画像化して示している。

 

 とすると技の説明が受け渡されていく中で伝言ゲーム的に「表技」的な面が強調されて市大合気道部に伝わってしまったのかもしれない。

 

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 下の画像で藤平師範は微かにだが左足を引くような動作で受けを投げられている。ここでは襟を持っておられるが、市大合気道部では首の横に手を当てていた。余談だが齋藤守弘師範の稽古に参加した時に「受けの首を持つのは失礼だ。あれは藤平光一師範が始められたんだ」と非難されていたのを聞いたことがある。これを見ると襟を持たれる場合もあったようで、齋藤師範が植芝盛平翁先生の技の通りに稽古されようとしたのと比べると技の形に自由度があるような印象がある。

 

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 大阪市立大学合気道部も終わってしまったし、そもそも最近はここで言う「表技」な入り身も稽古していなかったように聞いているので、いずれ消えてしまうものかぐらいに考えていたが、意外に変化技のひとつとして残り得るのかもしれない。 

 


1960 / 1970 Aikido with Koichi Tohei

2019年大田区の区長選挙 選挙後におもうこと

  大田区の区長選挙は危惧していたような結果になった。詰まらないことだと内心慨嘆している。有権者数 599,370 名、有効投票総数 247,694 、無効投票総数 8,376 、投票率 42.72 %。低投票率もあって初回当選時の公約を破棄した現職が4選目。

 

  開票結果を見たのと同じようなタイミングで、下記 Twitter ポストのまとめを読んだ。

 

togetter.com

 

 そもそも親が選挙行かない、投票所聞いたら分からんって言われた

(上記より引用)

 

  おおもとになったポストを書いたイラストレーターさんが本当に初めて選挙に行った若者なのか確かめようもないのだけれど、書かれているような「親が選挙行かないん」という家庭はかなりの数いるのだろう。もしかしたら投票率が示しているように半数を超えているのかもしれない。

 

 自分は、それで良いとはやはり思っていなくて、国政にしろ大田区政にしろ今この瞬間、良い方に向かっていない、ならば自分たちの世代だけでなく、自分の子供たちも含めた若い世代のために少しでも良い方に向かうようにしたいものだという考えでいる。そのためには次の選挙が来るときにではなく、今既に準備が始まっていなければならないのだろう。当選者はある意味現職にあることで次の選挙への準備をしていると見ることもできて、それと同じレベルで活動をしていないと「投票所がどこか分からん」という区民には候補者として認識すらされないのだろう。大阪府大阪維新の会が当選者を出しているのを見ると……あの状態が良いとは私は全くおもわないのだが……当選できるだけの投票者に対して存在を認知させられている、とは言えるかもしれない。

 

 選挙期間になって、いろいろな人が応援演説に来ることが効果があるかと言うとそうでもなく、あるいはむしろ逆効果ですらあり得て、結構な割合の人としては(何か言っているけど共感はないな)で終わっていたのがこのたびの選挙での有様だったかもしれない。

 

2019年大田区の区長選挙

 2019年の大田区長選挙候補者の情報をまとめておく。選挙期間中に更新できるところはしていく。

 

 3名の方が立候補されている。

 現区議の岡高志さん、大田区在住で東京大学名誉教授の神田順さん、現区長の松原忠義さん。

 

2019年大田区長立候補者

 

 最初に書いておこうと思うのが松原さんが今回当選すれば四選目となる立候補であるということ。彼は2007年に東京都議を辞職して大田区長選に立候補、当選しているがその際の公約に「区長の多選防止」を掲げており、実際多選自粛条例を制定している。それを昨年12月に廃止する条例を出して通しており、そのうえでの立候補となっている。

 

 多選自粛につきましては、マニフェストの中で区民の皆様へお約束したことであり、緊急計画のこの領域に位置づけております。
 本定例会に、「大田区長の在任期間に関する条例案」をご提案させていだたきたいと存じます。
 区長という大きな権限を有する職に、1人の者が長い期間在職することで、起こりうる弊害を未然に防ぎ、区政の活力を維持するために、区長の任期は、「3任期を超えて在任することのないように努めるもの」としたいと考えております。趣旨をご理解いただき、ご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

平成19年第3回大田区議会定例会 区長開会あいさつ 大田区  より

 

 この多選自粛条例自体、最初からどうも内容があやしいところがあった。あれこれ探してみると犬伏秀一区議および柳ヶ瀬裕文都議(当時は区議)が書かれた文章が見つかった。条例案に途中で「本条例は平成19年10月1日現在区長の職にあるもの」との附則が付け加えられたという指摘がそれぞれ書かれている。実際この附則があるまま可決されたのか、現時点で条文にアクセスできていないのだがおそらく附則ありなのではないかと思う。つまり「多選自粛条例はとりあえず現職の松原忠義区長にしか適用されない。あとは次の区長が条例案を出せば良い」というような、法として意味があるのか首を傾げざるを得ないようなところがあった。しかもそれを、自分で撤廃してしまったということになる。

 

 こういう恣意的なお金の使い方しかしないひとを3期12年区長にしているということは大田区民は認識しておく必要があろうかとおもう。

 

 ただ、松原さんはどう思われようとも当選できる目があると見られているのではないかと考えている。昨年9月に隣の品川区で区長選挙が行われているが、現職濱野健さんが4選している。元自民党所属の都議だった佐藤裕彦さんと無所属の西本貴子区議も立候補、佐藤さんには立憲民主党日本共産党自由党都民ファーストの会が推薦したが結局投票率が30%台と低かったところに票が割れる事態となってのことだった。大田区も同様のことが起きることは狙われているのではないだろうか。

 

  争点がない選挙だと多くの区民が思って投票率が低いということになると実際にそうなる恐れがあるが、賑やかに議論されて区民としても暮らしやすくなるということになって欲しいと願っている。公益社団法人東京青年会議所が主催する区長立候補者の公開討論会は三名とも出席されて行われたそうで、そのことは良いことだった。ただ前日に行われた別の公開討論会は公務で欠席だったとのこと。

 

tokyo-jc.or.jp


大田区長予定候補者公開討論(2019)part1


大田区長予定候補者公開討論(2019)part2


大田区長予定候補者公開討論(2019)part3


大田区長予定候補者公開討論(2019)part4

 

区長選の論点 その1 多選防止について

 そもそも議論せずとも済むはずの内容だが、現職が条例を変えてまで再度立候補するような区政の状況にはないはずである。なお先ほど「松原さんは4選可能と見ているのでは」と書いたが、主語は彼ではなく政府与党の複数の人間であるかもしれないと考えている。それは例えば、次に述べる羽田空港跡地の購入などの案件があるからだ。

 

区長選の論点 その2 羽田空港跡地購入

 大田区の予算から積み立てた資金が国と大手企業の汚職に流用されているとしたら区民としてはどう考えたら良いだろうか。 次のハーバードビジネスオンラインの記事などはちょっと煽りが強いように思うが、書かれていることは実際に進行している。

 

hbol.jp

 

 国及び UR の所有地を当初東京都が購入する意思を示していたが2008年に撤回。それを大田区が 165 億円で購入、企業に貸し出して再開発する。企業、というのは再開発を受託している鹿島グループだろうとおもう。その賃料が月額換算 600 円/平方メートル、一方で同じ跡地のうち、国有地で住友不動産に貸し出される分の賃料が月額換算 5,200 円/平方メートル。大田区民は企業への割引分を負担するような格好で、その割引負担は月額約 3,500 万円、となる。大田区は50年の長期賃貸契約(国は年契約の模様)、また大田区としてある程度の雇用が見込めるということはあるかもしれないが、それで区民として納得できる額では無い。

 

 この構図を見ると大田区長が単独で何かを考えているというよりは、国策で進めているプロジェクトをなんとか進行させたいと考えるひとが、羽田空港跡地については大田区を使おうとしている、そのために言うことをきく現区長を継続したいと考えているのではないだろうか。月あたり3,500万円を使って受けたい区民への補助は多くあるのだが、この状態を見過ごせばいずれ財政悪化を理由に、例えば中学生まで受けられる医療費全額補助が年齢引き下げを実施されたりするかもしれない。実際は高校まで、あるいは20歳まで補助するよう改善いただけるとありがたいのだが。

 

区長選の論点 その3 蒲蒲線

  東急多摩川線蒲田駅から少し離れた京急蒲田まで延伸して接続させ、直接羽田空港に乗り入れできるようにするいわゆる「蒲蒲線」については松原区政下で継続して検討されており、この事業についても予算が積まれている。しかし今に到るまで実現にこぎつけていない。

 

 線路をどこにどう通すのか、難しいと言うのは分かる。とはいえこれだけの時間をかけてだらだら課題を残していると言うのは決断力とリーダーシップに欠けるとの謗りは免れない。

 

 素人目には環状八号線道路の下を通すのが一番良さげにおもうのだが、そう言う具体化に向かっての議論が区民としては聞こえてこないのだが。

 

区長選の論点 その4 個人住民税

 岡高志さんがポスターでも目立つところに掲げられているのが「住民税の 20% 減税」と言うもので、公約としては分かりやすいものではある。都内の別の区を歩いていた時にも選挙カーで住民税減税を言っている選挙カーに行きあった。

 

 毎月何万かの住民税を払っているものとしては減税は助かるのだけれど、区単位での減税をどのように実現するのだろうと分からずに聞いている。都民の場合いわゆる住民税には個人都民税と個人区市町村税の二種類あり、そのうち区市町村税を減税する、と言っているのだろうと言うことは分かる。ただ、現状区によって区市町村税の計算方法は同じであり、大田区が他区より住民税が安いなんてことは起きていないと理解していた。東京都主税局のサイトの説明からもそう読み取れていた。

www.tax.metro.tokyo.jp

 

 この文章をリリースしたところ、岡さんが読んで下さり「区民税条例で税率を定めているので、本当は23区同じ税率にしなくても構わない」と教えて下さった。

 

 きちんと確認できていないので別途調べようと思っているのだが、教えてもらうまでは住民税減税には特例的な条例を制定するのかと思っていた。個人的な意見では法律において「特例はなるべく無いように、シンプルにするのが良い」と言うのがあって、特例であるならば別のやりかたが良いので無いかと思っていた。

 

 

 別のやりかた、と言うのは具体的には補助がストレスなく受けられる、でもよい、と言うことだ。子供のいる世帯への補助については先に書いたが、他にも公営住宅入居補助、老人介護、生活保護、障害者支援を篤くするといった力の入れ方ができれば他区、他道府県との差別化が計れる。ついこの前にも埼玉県吉川市で障がい支援課の職員が訪問調査に際して、ALS患者の方が文字盤でやり取りされているのに「時間稼ぎ」と言い放ったそうで、誤った「水際対策」が仕事だと思っている自治体が多いようにおもえる。区費の範囲内で住みやすくした結果区民が増えて税収も増えるような施策はどうだろうか。どの候補者の公約でも、その方向を示していないとは言っていないので、実際にその方針に進んでくれるのは誰だろうか、と言いかえて考えることにはなるのだけど。

 

詐欺サイトに引っかかったので対応手順をまとめる

 タイトルの通り、詐欺サイトに引っかかった。

 簡単に経緯を説明すると、トイレのふたカバーをイトーヨーカ堂で見つけて買ったのだが、気に入ったのでマットも揃えようとした。なかなか見つけられなかったところ、あまり知らないような通販サイトでやっと見つけた……と思ったら詐欺サイトだった、というもの。

 

 最終的に支払った代金の約 3/4 が返ってきた。だが当のサイトは現在も存在していて、おそらくは URL など引っ越してまた存続するのだろう。引っかかった自分も情けないが許さんぞ、という思いから、詐欺サイトの情報と今回の対応手順をまとめておく。 

 

詐欺サイト情報

 引っかかったのは「bike4peace.org」というアドレスである。今も存続している。当然ながらリンクは張らない。見に行かなくて良い。こんな見た目である。

 

詐欺サイトのひとつ

 

  ツッコミどころがいくつもあって、購入前に気がついていたがスルーしたところもあれば後になって改めて気がついたこともある。例えばサイト名だが、ホームをみた限り「GETTOP」だろうと思うのだがコンテンツにはこのワードは一切出てこない。html を読むと title タグには「デザインと機能性を兼ね備えた45シリーズカスタムパーツ、60シリーズカスタムパーツ、80シリーズカスタムパーツ, ANFを豊富に揃えております。」などと意味不明な言葉が書かれている。

 

 消費者庁のサイトでは問題のあるサイトの情報も公開されていたりするが、PDF になっていたりあまりアクセスし易くはなっていない。

インターネットをめぐる消費者トラブル | 消費者庁

 

経緯

2019年2月11日(月) 発注、当日中に受付メールが到着

2月12日(火) 支払い方法の案内メールが到着、当日夜にコンビニ支払いを実施

2月15日(金) 支払い3日後にメール返信で状況確認するが返信無し

2月18日(月) サイトの問い合わせフォームから状況確認するが返信無し

2月19日(火) Amazon.co.jp カスタマーサポートに問い合わせ(何故アマゾンかは後述)

2月20日(水) Amazon.co.jp カスタマーサポートから警察へ被害届けを出すよう依頼あり、夜に最寄りの交番に被害届けについて相談する。

→ 詐欺担当の刑事に確認してもらったところ注文から期間がまだ短いので、内容証明を出すなどして詐欺であることの確認をとるよう回答あり、届けは受理されず

2月21日(木)

e内容証明でサイトの会社概要の宛先に内容証明を発信。

また池上署に電話で問い合わせ、生活安全課につないでもらい進め方を確認

2月25日(月)
内容証明郵便が宛先不明で戻される。

2月26日(火)
事前に電話連絡のうえ池上署を訪問、刑事課の担当に話を聞いてもらい相談届けを受理いただく。

2月27日(水)
池上署担当より相談届けの受理番号の連絡あり、 Amazon.co.jp カスタマーサポートに受理番号を連絡

3月1日(金)
Amazon.co.jp カスタマーサポートからメール回答あり、支払い金額 2,000 円中 1,513 円回収できたので返金すると連絡

3月2日(土)
口座の連絡は電話のみとのことで、Amazon.co.jp に連絡。

3月15日(金)

アマゾンより回収金額が振り込まれる

 

おかしかったところ

 前述の通り、最初に気がついたところ、途中で気がついたところ、後になって気がついたところ、それぞれあった。

 

  1. サイト名が title に記載されていない
  2. 会社概要に会社名の記載がない
  3. 受付メールの送信元が Yahoo メールである
  4. メールの文字のコードがちょこちょこおかしい 
  5. コンビニ決済のリンクが何故かアマゾンのもの
  6. 決済時に連絡なく値引きがされている
  7. コンビニ決済の際に入力する番号が分かりにくい

 

……どれかひとつでも購入を思いとどまるに充分だと思う。サイト名については前述の通り。サイト名が曖昧なだけでなく会社名がないというのを見落としたのは恥ずかしいところだった。

 

 メールの文字コードも、最初さらっと読んだ時点ではひと文字ぐらいかと思ったがあとで見たら何箇所もある。

 

 リンクがアマゾンのものだった点については(決済部分だけアマゾンの仕組みを使うことがあるのだろうか)と思ったのだがあとでサポートに確認したところアマゾン以外で決済に使われることは全くないとのことだった。

 

 実際は受注があった時点でサイトの向こうではアマゾン上でギフト券の発注をしていて、そのコンビニ決済のリンクを発注者である私に送って代わりに支払わせていた。私がアマゾンのサポートに問い合わせした時点でおそらくギフト券は詐欺グループの手に渡っており換金などされていたのだろう。何故満額でなかったのかとか、逆になぜ一部だけでも回収できたのか、教えてもらっていない。

 

 何故引っかかったのか

 以下は反省文である。

 理由のひとつは支払いが 2,000 円と少ない額だったから。しかも発注時点では2,900 円だったのが、支払い連絡が来た時には 900 円の値引きが入っての 2,000 円だった。相手の支払いへのハードルを下げるためでもあろうし、そもそも Amazonギフト券購入単位に揃えていたのだろう。

 

 額が低いということは自分が支払いに際してのこともあるし、2,000 円程度で詐欺をはたらく奴はおらんだろうという考えもあった。いずれにせよ甘かった。

 

 もうひとつは換金性の高い商品をアマゾンで購入して支払わせる、という手口について思いつかず、アマゾンのリンクであるならば大丈夫ではないか、と思ってしまったこともあった。

 

 結果として被害額 2,000 円で警察に行くことになった。警察にも申し訳ない気持ちがないではないが、彼らにとっては仕事なので知らん顔をして受けてもらった。とはいえ内容証明郵便に 1,200 円かかっているので合計で 3,200 円かけてしまっていて、やはり額にかかわらず怪しいサイトで買い物などするものではないな、と再確認することとなった。

 

最後に

 消費者庁のサイトに情報が集められて公開されているし、消費生活センターに行くなどしてもある程度のことは教えてもらえるのだろうか、自分が購入する前後に調べた限りではこのサイトがイケてない通販サイトなのか詐欺サイトなのか判断しきれなかったこともあり、今後同じようにこのサイトに引っかかってお金を騙し取られる人が出ませんように、そしてサイト運営者がうまくいかずにあれこれ苦労を背負いますようにという呪いを込めてまとめておいた。他にも同様のサイトがまだあるのだろうが、見つければ同じように注意喚起をしてみようとおもう。

 

昇段

 まだ大阪市立大学在学中、恐らくは二回生ぐらいだった気がするので1988年頃のことだったとおもうが合気道部で先輩が段位について話してくださったことがあった。どなたに伺ったのかも覚えていない、遠い昔の話しだ。

 

「四段までは俺たちの免状と同じような普通の賞状だが、五段からは和紙に手書きになるらしい」

 

 当時、合気道部で五段、六段に昇段すると言う方はいなかった。なお天之武産塾道場では阿部醒石師範は十段位であり、そういう話は超越していたという印象しかない。今になって改めて確認すると師範代であった木下良一師範は私が大阪市大を卒業し就職した1991年に六段位を允可されておられていて、その頃は道場にもよく稽古に行っていたからどこかでお話しを聞いていたかもしれないのだが今振り返るとあまり覚えていない。そんなことで五段以上の免状については想像上の存在として過ごしてきた。

 

 五段に推薦いただく話を尾崎晌師範からいただいたのは昨年の10月8日の大田区合気道連盟の演武会を南馬込文化センターで執り行ったあとで、その瞬間に思ったのは免状がどうこうではなく、また推薦いただけたありがたさよりタッチの差で、恥ずかしながら(昇段登録料を払えるだろうか)ということが先に浮かんだ。先に書いておくと五段の登録料は7万5,600円。それを捻出することができるか、それなりに逼迫した家計のやりくりからすぐに判断ができなかった。結果としては手をつける予定のなかったところからなんとか調達して推薦をお願いした。なお大阪で二段、三段の試験を受けた際には登録料に少しだけ阿部醒石先生へのお礼も含めていた気がするが正確な額は覚えていない。1万円以内であったとおもう。噂だがそんなものでは無いお礼を師範に納める道場もあるときく。大田区合気道会では登録料と更新料だったか、いずれも合気会が公式に道場に課している費用だけとなっている。

 

 推薦が通ってこの正月の本部道場鏡開き式で五段をいただいてきた。なお手続きはあくまでも「各道場が本部道場に対して行う」のだが、その要領が分からずとてもまごまごした。新宿若松町の本部道場に伺うと既に三階の道場には人が溢れていて入れず、二階の子供が稽古する道場にやむなく入って映像中継で鏡開き式をみる事態となり、その点でもまごまごした。まごまごしている間に尾崎師範が手続きをしていただいていたので全て済んでいたのだが。

 

  五十歳で五段ということになった。鏡開き式のあと、大森駅前まで戻って大田区合気道会の新年会と昇段者のお祝いがあり出席したのだが、その席で天之武産塾道場での昔話をした。これも自分が市大の二回生の時だったと思うのだが、他大学の先輩が二段を受験されて合格、そのあと阿部醒石師範と座談する時間があった。その先輩が「私などが昇段して良いのかと思います」と殊勝なことを言われると阿部先生は「それでええのや」と仰った。「まだ自分には足りないところがある、だからもう少し頑張ろう、と思うことが大事や」と言われる。自分は不遜なところがある人間でそういう謙虚な気持ちを自然に持つことができないところがあるのだが、阿部先生の「それでええのや」が耳に残っている限りは自分を戒めることができるのではないかとおもう。

 

 

免状

 

品川駅から東京駅まで iPhone を取りに行ってきた

  本当に物忘れがひどくなってまずいなと思うのだが、関西に出張して帰ってくる際の新幹線で、席の壁際にあるコンセントで iPhone を充電していたところ忘れておりてしまい慌てるということが先日あった。かなり短めの充電用のコードしか持っておらず、足元にあるコンセント口に挿した電源アダプタの上にちょこんと載せていたのをきれいに見落としてしまったのだ。

 

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充電してた iPhone を忘れて品川でおりてしまう失態。東京駅まで取りに来ました。届けて下さった方ありがとうございます。 

 

 結果として東京駅に届けられたので割とすぐに取り戻せた。治安が良いということはありがたいことだが、二度目は無いと思って長めのコードを用意せねばならないと思っている。上は受け取ってほっとした様を示している東京駅での写真。

 

 品川駅のホームで(あれ?iPhone が無い)とポケットを探っている間にドアが閉まってしまったのだが、列車に戻ればこんなことはなかったかもしれない。ポケットに入れたはず、と思い込んでいて列車の充電用コンセントに挿したままだと気がつくまでに時間がかかったわけで、この辺りの反応の鈍さにも自分の年齢を感じる。ホームにいた駅員さんに忘れ物をしたのだが、と相談したが最後まで話を聞かず乗り換え口の係に行ってくれ、と面倒臭そうに言われた。そういう客が多いのだろうが、いつかJR東日本から何か頼まれごとをされることが来た日には小一時間文句を言ってやろうと心に誓った この新幹線品川駅のホームにいた駅員がJR東海所属なのか、JR東日本所属なのか分からないがいつか確かめた上で文句を言う機会を得たい。*1

 

 乗り換え口の女性の係は親切に対応してくれた。ちなみに私以外に切符を車内に忘れたという人が男女ひとりづつおられたので、ホームの駅員が面倒臭がるのは若干理解できる……がやはり許さん。ともかくも乗っていた号車と席番号を伝えると係の方が東京駅の方に電話連絡を入れていただいたが、「車内の所定位置を探しても見つかりません。明日の営業時間中に東京駅の忘れ物承り所に行って再度確認して下さい」と言うのが最初の回答だった。

 

 流石にそれは困ると切符忘れ組さんと一緒に窓口に佇んでいたが、15分ぐらい経って今度は「届けて下さったお客様がおられたようです。東京駅のここまで行っていただければ」と行き先の説明書きを渡してもらった。東京駅までは、新幹線に乗って行って下さい、という。

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東海道・山陽新幹線忘れ物承り所へのご案内プリント


 有り難く、ひと駅を新幹線で移動、席に座っても良かったのだろうがドア前で立って移動、南乗換口清算所だかに行ってしまったりしたが中央乗換精算所へ到着、iPhone は手元に戻ってきた。改めて届けて下さった方には御礼を申し上げる。品川駅から東京駅までの運賃について尋ねると「お客様の乗車券では品川まででも東京まででも料金同じですので大丈夫です」との答えだった。いつも新横浜と品川で料金違うので、品川と東京も違うのかと思ったがこれは少しありがたかった。 

 

「落とし物を取りに行ってきた」シリーズ



 

 

 

 

mukunokiyasuo.hatenablog.com

*1:読んで下さった方より「品川駅が新幹線であればおそらくJR東日本ではなくJR東海の人です。小一時間文句を言われる東日本は冤罪になってしまうのでご注意を」とお教えいただいたので訂正