尊敬

 asahi.com:「先住民族と認めて」 首都圏のアイヌの人々が署名集め - 社会

 記事自体より、ブックマークのコメントが多彩なので目がとまった。

 一部冷淡、というか悪意を感じるコメントも少ないがあるようで、目だってしまう。

 アイヌウタリについてどのようなことがあったかというと、ぱっと次の2つが思い出された。

  1. 人類館事件 - Wikipedia
  2. 北大人骨事件 - Wikipedia

「人類館事件」については下記も参考にした。明治時代の話ではないか、という印象かもしれないが、他の人間を「見世物」にするのをあたかも正当な文化事業の一環のようにしてやったということが、江戸期からの影響だったのか、後の戦争を生む萌芽だったのかは興味あるところである。

植民地政策と万博、そしてオリンピック」(アイヌ民族情報センター活動誌


「北大人骨事件」は、必ずしも「昔の話」とはいえない。もしかしたら、つい10年20年前にアイヌの方の墓地を学術調査のような顔をして掘り返していたかもしれない、という話である。もしお盆に墓参りに行ったところ、アメリカだの中国だのの調査チームが墓地に立ち入っていたりしたら、掘り返していなかったとしも嫌だろう。下記考察は古い時代についてだが参照。

「アイノの人類学的調査の思ひ出」を読んで}{}{ Ainu puyarA }{}{ アイヌの生活と現在を考える窓 内)


 それ以外に、ネットで探せず出典が未確認なのだが私が大学生だったから17、8年前、アイヌの方が勤務先で髭を剃ってくるように言われた、という話を読んだ記憶がある。

 またこれも放映局や氏名を思い出せないが、おそらくはユカラ(叙事詩)を歌う少年を取材した番組があって、その中で彼は「学校で友達にアイヌだって言ったら、生肉とか食うのかよ、みたいなとんでもないこと言われたことがあるし、そういうのを払拭したくて」というようなことをインタビューで言う場面があった記憶がある。

 いずれの例をみてもこんな思いが導かれる。

 国の中にも様々な文化があって、民族があって、衝突があったりしながらもお互いに尊敬の念があってなんとかやっていけるのだけれど、日本にはそれが足りないんじゃないのか。

 ちょっと気を抜くと他者に配慮を欠く考えがのさばってきて、少数者を足蹴にしようとする。だから継続して訴えていこうとしているのが、冒頭ブックマークされた記事での署名活動だろう。記事が短くはなはだ意を伝えていないのだが、契機となるようなことがあったのかもしれない。

 とにかく、先住民族として尊敬してほしい、と訴えている。もし「アイヌ文化振興法」とかで守られてるじゃんかよ、と誰かが言ったとしたら、その時点で尊敬していないのだとおもう。