「語らう街」試論

 武田正義さんという建築家の方のページで「語らう街」というプロジェクト案が提示されているのを教えて頂いてとても興味を持った。単に建築設計にとどまらない、現実に新しいコミュニティ、「まち」を作ってしまおうという提案である。 

語らう街」(武田設計 武田正義

 前日佐野の「プレミアム・アウトレット」に行ってきたが、あれもあたかも仮想の商店街であるかのような体裁をとっている。買い物をしながらどこかで、アウトレットの各店舗で働く方々は、この近くにお住まいなんだろうな、車や自転車で通ってくるのかな、あるいは中にも生活できるようなスペースが用意されていたりするのかな……などと考えていた。

 いっそ自宅と商業スペースが一緒になっていて、「まち」の外郭には外からもひとが買い物や仕事に来る様な場所があれば、確かに面白い。

 例えばJR川崎駅北側は現在「ラゾーナ」という巨大なショッピングモールが出来ている。駐車場が広いので自動車でも出かけ易いし、川崎駅からも直結になっていて雨の日でも濡れずに行くことが出来る。元々東芝の工場跡地で、東芝不動産と三井不動産が開発事業主、現在のショッピングモールの運用は三井不動産の子会社になる「ららぽーと」だとのこと。このような跡地の再開発においてショッピングモールでなく、「語らう街」のようなコミュニティを作ることは出来ないものかとおもう。売り上げ至上で考えると横槍が入って実現しないのかもしれないが、店舗での売り上げと店舗部・住居部の家賃を収益と考えるとどうだろうか。

 分譲とすると人が入れ替わらなくなり街が老いるリスクがあるし、運営元がある程度の権限を持ったうえでの賃貸で運営するのが良いような気がする。運営には住人が関わっているのが幸福な状況を得ることになる気がする。

 ということを日々考えて商業施設や商店街を見るようになった。