受け身のあとに
六月頃の大田区合気道会の稽古、準備運動をしていた時に尾崎晌師範が一度皆をとめて「前回り受け身のあとにすぐ後ろに振り返るようにやってみなさい」と言われたことがあった。つまり半身の態勢からくるっと180度向き直ってやはり半身の態勢をとる体捌きの稽古である。あの体捌きはなんと呼称するんだったか……本棚から植芝吉祥丸先生の『合気道』を引っ張り出して調べたがそのものずばりの説明をされているページはみつけられなかった。「転回」と呼んでいる例をいくつかみつけられたが正しい呼び名かどうか確言できない。
何気ない動きだけれど重要な体捌きでかくかくした動きでなくなめらかに動けることが求められる。
この体捌きをどこで使うかというと投げ技のほとんどで使うこととなる。 大学の合気道部などでは一人掛けだけでなく二人掛け以上の乱取り稽古をよくやるので自然に身につけている。今年の全日本合気道演武大会、植芝守央道主の演武の際の受けの方々を見直してみると立ち上がるよりも道主に向き直る方が早いくらいだ。
逆に言うと師範の説明を聞いて、一対一の稽古だけをしていると「受けのあとすぐ立ち上がって相手に向き直る」という当たり前の動きをしなくても良かったりするのでとっさに出なかったりするのだ。一人が取りに立って、他の者が続けてかかって行く回し稽古のような稽古をするとそれが顕著に出たりする。それをあえてひとつの形として稽古するのは意義のあることだとおもう。