ストロング系酎ハイの成分への疑義
勤務先で年一回の人間ドックを受けられているのだが、昨夏の検査で肝臓の値が基準値を超えたということがあった。γ-GTP については十年以上高めの状況が続いているのだが、この度は GPT(ALT) の値も突然基準値を超えた。GOT(AST) も基準値内だが上がっている。いずれも肝臓に関する検査値ということになる。
γ-GTP は肝臓をはじめとする臓器の細胞内に存在する酵素で、これが血液に出ているということは何らかの問題が臓器で起きているのではないかということになる。
γ-GTPは本来ならば細胞内に存在しているのだが、何らかの理由で細胞が破壊されたりしたことによって、血中へと遊離したことによって、この値は上昇する。また、ヒトなどでは特に疾患が無くともγ-GTPは血中から検出されるものの、疾患があると、その値は異常に上昇する場合がある。特に、胆道系疾患の胆嚢炎や胆道炎、さらに胆道閉塞などによって上昇する。また、肝臓疾患の肝ガンやアルコール性肝障害などによっても値が上昇する。このため、肝・胆道系疾患のスクリーニングのための検査項目の1つとして利用され得る。
この値が高いため、人間ドックでの問診では毎度酒量を確認される。そのため酒を飲む日を減らしてきていて、四十歳を過ぎてからは週四日までとしてかつ二日続けて飲まない日を作るようにしていた。五十歳を迎えて以降は更に減らして週二、三日としている。それにも関わらず上昇、かつ ALT も異常値を示したので何が悪いのかにわかには分からなかった。γ-GTP が胆道についての異常を指し示すことが多いのに対し ALT(アラニンアミノ基転移酵素) の検査値の上昇は肝臓そのものに限定した病変の可能性を示すらしい。細胞内にあるはずの酵素が血液に多く漏出しているのは何か問題があるのでは無いか、という見方は γ-GTP と同じらしい。
逸脱酵素としての性質から、血清中のALT濃度は肝障害の程度の指標として利用される。肝細胞が破壊し尽くされるとむしろ流出量は低下する。肝臓の逸脱酵素としてALTとともに知られるAST(GOT)よりも特異性が高い(肝臓以外の障害では上がりにくい)が、ASTとの比率も臨床的に意義がある。
昨年の人間ドックの診断結果には半年程度で再検査を、という経過観察扱いとする旨が記載された。勤務先が費用負担して血液検査が出来ると分かったので先日2月初旬に検査を受けて来たのだが、漫然と再検査はしないとのお達しだったのであるものをやめて検査に臨むことにした。即ち
ことにした。いわゆるストロング系酎ハイ。そして検査結果が以下となる。
項目名 |
基準値 |
2016年7月 |
2017年7月 |
2018年8月 |
2019年7月 |
2020年2月 |
GOT(AST) |
39以下 |
16 |
16 |
16 |
27 |
16 |
GPT(ALT) |
39以下 |
22 |
19 |
20 |
45 |
24 |
69以下 |
115 |
83 |
116 |
209 |
126 |
今月の検査で ALT は基準値の範囲内に戻った。AST も下がった。γ-GTP は基準値を超えているがやはり下がっている。
Twitter の自分のポスト履歴を見返してみると2017年中は「飲んだことがない」と明言している。そして2018年4月には「飲んだ」とポストしており、缶ビールレギュラー缶のあとの二本目に飲むという習慣がこの辺りから1年半ほどは続いたことになる。2018年8月の検査値で γ-GTP の検査値が少し上がっているのは飲み始めて3,4ヶ月で影響が出始めていたのかもしれないと思える。そして2019年11月あたりで飲むのをやめたので3ヶ月で改善結果が現れたものと推測したくなる。
ストロング系酎ハイを原因として仮定した原因はいくつかあるのだが、そのひとつが精神科医の松本俊彦さんの Facebook での下記投稿だった。
結局あれは「お酒」というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。そして、ジュースのような飲みやすさのせいで、ふだんお酒を飲まない人や、「自分は飲めない」と思い込んでいる人でもグイグイいけます。そうした人たちが、ビールの倍近い濃度のアルコールをビール並みかそれ以上の早いペースで摂取すればどうなるのか。ただでさえ人類最古にして最悪の薬物といわれているアルコールですが、その害を最大限に引き出す危険な摂取法です。
松本 俊彦 - ストロングZEROは「危険ドラッグ」として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあ... | Facebook より
上記引用の太字は私が附したもの。なるほど、と思うのだが私の身体に起こったことを鑑みると「高い濃度のアルコールを早いペースで摂取する」ことだけが検査数値に現れるような事象を起こしたのかについて少し疑問を持った。日本酒やワインなら、酎ハイとの飲む速さは縮まり、そしてアルコール度数は酎ハイに比べて高い。ストロング系酎ハイを辞めてからの三ヶ月ほど、荏原町の伊豆屋酒店で日本酒を買って飲んでいるので酒量としては著しく落としていないという印象なのだが、この検査結果が出ている。
「人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物」自体が、醸造の結果得られるエチルアルコールとは異なるような、人体で処理するのに更に負荷がかかる特性を持っているなんていうことはないのだろうか。サントリーやサッポロをはじめとする大手酒造メーカー各位の製品にケチをつけるようで心苦しいのだが、私のような例が他にも無いのかきちんと調べてみてほしいと思うに至った。血液検査で同じようなことがあれば是非参考にしていただき、数値を共有いただければ幸い。