豊洲の土壌汚染についての振り返りまとめ

 豊洲の中央卸売市場移転予定地で「環境基準の4万3000倍のベンゼン、860倍のシアン化合物、24倍の水銀」が検出された、というニュースで、石原慎太郎都知事が定例会見で「ショッキングな結果」と述べたというのを話を読んだ。

 東京都知事の定例会見はTOKYO MX TVが放送していて、TOKYO MXyoutubeに専用チャネルを設けていると聞いていたので検索したが、先週のこの会見の映像は現時点でアップされていないようだ。新聞の記事を改めて検索して読む限り「移転のため土壌汚染対策により多額の費用を投じる必要がある」とは述べているが、計画を見直すつもりはないとの文脈だったように読める。

 石原都知事がよく侮蔑の対象とする中国では北京オリンピックを前に環境問題も指摘されている。東京オリンピックが実現したとして、中国以上の汚染が日本にあり、その汚染場所でオリンピックを開催することになると世界に知らしめるのは確実で、石原都知事は実は中国をアシストする気があるのではないかと感じる。

 1年ほど前、都知事選が石原慎太郎氏当選で終わったあとに民主党所属議員が移転予定地を視察している。下記のうち「JanJan」の記事では東京都新市場建設課の飯田一哉という課長職が視察団がその場で汚染調査をすることを拒否したり、大槻秀次市場長(やはり東京都職員)が築地市場の問題点ばかり強調するのが揶揄されて書かれているが、今後もそのような都職員の対応は転換するような話にはにわかにはならないらしい。

豊洲の土壌汚染 議員団が地下水調査(JanJan)
民主党:「豊洲の土壌汚染かなり危ない」視察終え、菅代表代行

 神奈川県職員の川崎南高校解体の結論ありきで行動していることを書いたばかりだが、東京都職員においても同じ傾向が見える。義務感だけでやらされている場合ろくな結果になりはしない、というのが実体験から得た知識だが、首都圏の地方公共団体においては義務感や命令でたやすく行動がパターン化されるのだろうか。

 そもそも1年前の知事選の時点で土壌汚染の問題は争点になっていた。

都知事選のマニフェストチェック(1)とおまけ - 椋箚記
都知事選の判断基準:築地市場移転 - 椋箚記

 1年ちょっと前の時点で今回報道されたような値は出ていなかったのだろうか。引用記事の内容もクリップしておけば良かったがロストしている。東京ガスが実施した土壌汚染状況調査の結果があったはずだが、今検索すると公式資料とみられるPDFには基準値をオーバーしていることは明記されているが、値は明記されていない。

第一回豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議 資料−3 東京ガス(株)が実施した土壌汚染状況調査東京都中央卸売市場サイト内PDF資料)

 その代わり独立系メディア「今日のコラム」にまとめられている。

  • ベンゼンは15mg/L(環境基準の1500倍)
  • シアンが49mg/L(490倍)
  • ヒ素が0.49mg/L(49倍)
  • 水銀が0.012mg/L(24倍)
  • 鉛が0.093mg/L(9.3倍)等

 ということは、この検査結果でも既にすごいが更に高い値が再検査で出た、というのが今回の報道。実はベンゼンは25倍以上、シアン化合物が倍以上でした。よって土壌汚染対策に当初の見積もり額670億円のほぼ倍増となる約1300億円の公費(税金)を投じることになる、というのが報道内容の本質だ。

東京都豊洲新市場予定地の土壌汚染問題  鷹取 敦(Alternative Media - Today's Column)

 先日400億円の公費投入が決まった新銀行東京に続き、更に高額の公費が投入される。東京都民数で割ったとして、1万円くらいの想定外の支出となる。それだけ通常のサービスが削られるかもしれず、また増税を実施されるかもしれない。これが昨年石原慎太郎を都知事に選出した結果で、選挙の時点で有権者が想像し得たことだ。これでもまだ54.35%などという低い投票率で都知事を選出するのか。石原慎太郎を都知事に据えている限り、この額は更に増大するかもしれないのに。