ギブスの中の夏

 7月6日の金曜日、行きの通勤電車内で珍しく家内から電話が鳴った。電車を降りてかけ直すと、電話が遠いながら長男が左腕が腫れているので外出の予定を取りやめて病院に連れて行ってくる、というような話であった。

 あとで改めて聞くと 雲梯から左肘を下にして落ちたのだそうで、レントゲンを撮って調べて頂いた結果肘の骨にヒビが入っているという診断だった。即ギブスとなった。恐らくは上腕骨顆状骨折、というものではないかと思う。

 この最初の診察で担当医に「全治3週間、もし大人だったら3ヶ月かかる」ということを家内は聞いてきていたが、まさに3週間と数日後の今日晴れてギブスが取れた。

 長男がギブスをするようになって分かったのだが、この「肘の骨にヒビが入る、ないし骨折する」というのは子どもにとても多い症例であるらしく、「わたしも子どものころにやった」「うちの子もやった」という方が結構おられた。私がみて頂いている整骨院でも話題にしたら、やはり子どもに多いとのことで「子どもは折れたりヒビが入るんですが、大人は脱臼しちゃうんです」と教えて頂いた。

 経験者が口を揃えて言われるのが、この暑い時期にギブスをすることの大変さだった。勿論長男もそれに耐えた訳だが、痒くなってもかけない訳である。

 編み物のかぎ針で掻いたという話、割り箸で掻いたという話など聞いたが、2回めの診察で家内が医師に聞くと「掻いてしまうとヒスタミンが出てしまってより痒くなるので、我慢するのが一番です。痒みが出た時は冷やしてあげて下さい」とのことだった。

 最初の2週間はがっちり固めていたのでアイスノンなどで冷やすことで対処していたのだが、それ以外に長男はしきりにギブスを叩いていた。気のせいかもしれないが、叩くとその振動で多少痒さが和らぐように感じていたらしい。最後の1週間は腕の外側だけの添え木のようなギブスだったので、時々自分で包帯を外して掻いて、家内に巻き直してもらっていた。

 幸い長男はこの怪我としては軽いほうだったように思われる。最初の晩こそ寝る時に微動だにしなかった長男だが、2日目の晩からはいつも通り寝返りを打ったりするようになった。お陰で……私と家内は時々ギブスが頭だの顔だのに落ちてくるのと戦いつつ寝ることとなった。

 まだ動かすのが怖いようで風呂でマッサージしながら徐々に……というところ。しばらくは転んだりしないようにも気をつけるように言われている。


(大阪三国の整形外科さんのサイトの説明があったので参考に)