ぼくたちの空とポポの木

 福岡のSNS「tantan」の中で松沢直樹さんが、自著『ぼくたちの空とポポの木』を小学校の校長先生が紹介して下さった、という話を書かれていた。

河内長野市立高向小学校 校長室だより

 自分の時代なら藁半紙に刷られてもらうイメージの校長先生のお話だが、それがネットで親も子も見ることが出来る。校長先生が自分が読もうとおもう本として推薦されるというのはいい評価だと素直に喜ばしい。

 最近道理をわきまえない親の話を、テレビだけでなく身近な話でも聞くことがあるので学校からネットを使って考えを発信するというのも時には困難を伴うかもしれないが、閉じた文化であるよりは時には批判にも耐えられるくらいであってほしい。その意味ではこのような試みが良いことなのかもしれない。













著:松沢直樹/絵:渡邉美奈子

ぼくたちの空とポポの木




有限会社 眺

価格880円(税込)



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ねえ、おとうさん、おかあさん、せんせい、戦争ってなあに?

オイルショックの余波を受ける、昭和五十年の北九州・小倉。

小学三年生の靖洋(やすひろ)は、誤解が元で、親友の博史とけんかしてしまったまま、夏休みを迎えていた。二学期になると、博史やクラスの大半の児童が転校してしまうことを知った靖洋に、クラス担任の横川ひろえは、分け合って食べると、仲直りができて、いつまでも友達でいられるという「ポポの実」の話を伝える。横川のはからいで友情を回復した二人は、全国に散ってしまうクラスメイト全員が、いつまでも友達でいられるように、八月九日の登校日に、原っぱに生えたポポの実を分け合って食べようと提案する。だが、約束の日に、横川は学校に出てこなかった。

不安にさわぐ児童たちが知ったのは、横川が、かつて長崎に投下された原爆のために白血病を患っており、病状が悪化して入院したという事実だった。史実では語られない原爆の投下目標だった街「北九州・小倉」を舞台に、新たな視点で戦争の矛盾と命の尊さ、人のつながりの暖かさを描いた物語。小学校高学年から大人まで。