むつみ昆虫王国

 葬儀やお盆のために須佐に帰郷したのだが、合間に子供に夏休みらしいことを、と妹が子供(私にとって甥っ子)を「むつみ昆虫王国」へ連れて行こう、と考えた。義理の弟が仕事のため、私が運転手になり、家内とうちの子供2人も一緒に行くことにした。

 家内は以前長男を連れて行ったことがあるとのことだが、その時はまだ小さかったせいかリアクションがいまいちだったらしい。今度は2つ上で仲がよい従兄弟が一緒なので、はてどうだろうか。

 朝8時半頃出て、道を間違えたので9時半頃着いた。夏休みとはいえまだほとんど他の訪問者がいない。ヒラタやミヤマなど、在来種だけでなく外国種も販売している「クワガタの館」を最初見て、次に「カブトムシドーム」へ行った。一人入場料300円。

「ドーム」と言ってもクヌギやナラの林の一角をネットで囲ったものだ。その中にカブトムシや蝶が放し飼いされているのだが、分かっていても結構凄いぞ、これは。

 子供たちは最初カブトムシを触るのに躊躇していたがじき慣れて、「ムシキングだ!」と言いながらオス同士を戦わせ始めた。中には本当に勝気なのが居て、戦わせると片っ端から相手を跳ね飛ばしてしまう。子供らが喜ぶ、喜ぶ。

他の昆虫も

 蝶は一種類しか確認出来なかったが、私が思わず声を上げて写真を撮ってしまったのがシデムシ。動物や大型昆虫の死骸に着いて食べてしまう掃除やだ。『ファーブル昆虫記』では確か、この虫を観察するのにモグラの死骸を集めたのだが臭気に耐えかねて誰も手伝ってくれず、孫ほど年の離れた一番下の息子だけが手伝ってくれた、ということだったと記憶している。写真は気持ち悪いかもしれないが、ミミズの死骸に取り付いていたシデムシ。2匹が同じように、別の場所でそれぞれミミズを食べていた。

カブトムシのセックス

 家内が「なぜメスがいないのかな」と気がついた。確かに、ネット内にはオスしか見かけない。入場手続きをしてくれるおじさんが、いろいろ教えてくれた。

 カブトムシは成虫になると、すぐに交尾に入り、その後2週間ほどしか生きないらしい。それでは子供たちが楽しめないので、最初はオスとメスを隔離するのだという。「お盆を過ぎたら、メスも一緒に入れます。するとこの中で産卵します」とのこと。そういえば、販売してあるクワガタもひとつのケース内でオスとメスを隔離してあった。「あれも困るんですよ。買うてからすぐ死んだ、とお客さんに文句を言われますのでねぇ」

 カブトムシの生態を示したボードを見せながら、おじさんは「サナギは触ったらだめで、前蛹ないし蛹で触ると死ぬか、小さかったり、角が曲がったりします」とのこと。覚えあり。奈良は学園前に住んでいた時蛹までカブトムシを育てたが、珍しくて蛹を触ってしまった。そのカブトムシは帰らずに蛹のまま死なせてしまった。そのことをおじさんと話したりした。

 だから幼虫のうちに集めて育成専用の施設に集めるのだそうで、「1000匹隣の施設で育てます。それでもまぁ、半分育てばいいほうですねぇ」。他の場所に預けて育ててもらったりもするらしい。

 なおまとめて育てていると、狸や狐が狙いにくるそうで、施設の周りには有刺鉄線を張ってあったりするとも案内板に書いてあった。

昆虫の森

 そのあと近くの「昆虫の森」で子供を遊ばせた。いい感じの里山にしてあって、鳥の巣箱を設置してある。カブトムシドーム内には、当たり前ながら補虫網や虫かごは持ち込めないので、その森の中で虫取りをさせた。幼稚園年中の長男が補虫網で蝶を捕まえたのにびっくり。褒めたら得意になること。蝶など飼えないで死なせてしまうに違いないので、長男に納得させたうえで逃がさせた。

「カブトムシドーム」もそうだが、この森の中も涼しくてよろしかった。この夏一番の暑さだったのだが、森の中はいい具合に風が通って爽やかだった。子供を遊ばせるのにも、親の避暑にもお勧めな場所である。

 ただし朝イチがよろしい。遅れて団体客がバスで来る頃には、最初手の届く場所にいて子供たちに遊ばれていたカブトムシが木の上の方に上りだした。おじさんが「気温が上がると、涼しい場所を探して上に行きます」ということだった。いい時間帯に行った。