啓蟄

 11日の月曜日からぐっと暖かくなって、特に蛙が表に出てきた。

 馬込近辺で見かけるのはヒキガエルで、地域的にはアズマヒキガエルなのだろうと思うのだが、ちゃんと同定するには至っていない。環七の向こう、山王にも居て、私は大森駅のすぐそばにいるのを見たこともある。

 先日帰宅途中、小さな水溜り程度の場所でくああ、くああ、という聞きなれない鳴き声を聞いたのだが、目を凝らすとヒキガエルが何匹も水の中に居て、産卵なのだな、と思ったことがあった。暗いなりにも携帯で動画を取ってやろうかとおもったが丁度バッテリーが切れかけで撮れなかった。

 翌日以降見るとやはり寒天状の紐のなかに卵が入って産み付けられている。目に付くやつは子供たちに突っつかれてひどい目にあって孵らないかもしれないが、いずれどこの池や水溜りにもおたまじゃくしが泳ぐようになるだろう。そして同じ頃に生まれてくるヤゴがそれを食らうのだ。

 それにしても1本の卵の紐が1匹の蛙の体積に匹敵しそうで、どうやって生んでいるのか改めて不思議な気がする。

 気がつくといっとき姿が見えなかったタニシというかニナというか、小さな貝が水溜りの泥を掻き分けて歩き始めているのも見た。杉花粉に辟易する季節だが、こういうのを見ると子供のころ田んぼに遊びに行ったことを思い出していい気分になる。