戌のように

 天木直人さんのブログの下記記事を、ブックマークされているのを見て知った。

「女性は犬のように子供を産め」と言った小泉前首相

 元記事の岩見隆夫さんの文章はMSN-Mainichi INTERACTIVEに出ている。

サンデー時評:「犬のように産め」と失言した人も?

 天木直人さんは小泉純一郎前首相に対して批判手厳しいひとだから、非常に厳しい内容になっている。私も基本的には、「多くの国民は納税者をたくさん育てて、金を出しておれば良い」という、現政権と同じ精神から出た言葉であると感じた。

 だが、実際には岩見さんや天木さんが望むのに反して、メディアがこのことを大きく取り上げることはないような気がする。また、「上手に報じないと」、多くの国民はこの小泉前首相の言葉に問題点を見出さないようにおもう。

 タイムズ誌の原文(英文)が無いし、あっても自分がニュアンスを読み込めるか分からないのだが、岩見さんの文章によるとこうだ。






 同誌の連載コラム〈ロンドンから〉のなかで、森嶋瑤子さんが怒りを込めて書いていた。昨年一月五日の『タイムズ』紙に、笑顔の小学生たちに囲まれてうれしそうにしている小泉さんの写真が大きく載って、それについている見出しが、〈戌年にあやかって、犬のように子どもを生むようにと女性に言った〉

 妊婦さんが戌の日を選んで腹帯をするのは、安産を願う日本の風習だ。上記文章を普通に読めば、日本の風習にのっとって女性の安産を願う言葉を述べたに過ぎない、と取れる。柳澤伯夫厚生労働大臣の発言があってはじめて、小泉氏の発言も深読みしてしまうのだが、小泉氏の発言にそういう悪意を感じるひとは少数派になるような気がする。

 森嶋瑤子さんという方は、ロンドン大学教授、大阪大学名誉教授の経済学者である森嶋通夫さん(故人)の奥様だということである。果たして、戌を安産のお守りと考える風俗に慣れておられたのか、疑問を感じる。森嶋さんはロンドンで30年を過ごした、とアマゾンの森嶋通夫さんの著作の内容を紹介に書かれているのを見て、日本の風習など忘れがちなのではなかろうか、という気がした。

 何でも批判に使えるわけではないなあ。