都民の罪

 現在の東京都議会の議員が選挙で選ばれたのはちょうど一年前だった。2013年6月23日が投票日だった。一年経ったところで都議会において野次によるセクシャル・ハラスメントが行われ、有耶無耶に事が終わらされそうになっている。

 

他のヤジ発言者の特定求めず 都議会が再発防止求め決議:朝日新聞デジタル 他のヤジ発言者の特定求めず 都議会が再発防止求め決議:朝日新聞デジタル

 

 野次を発したことを大田区から選出の都議がひとりだけ認めているわけで、大田区民としては責任を感じている。彼の事務所は私もよく利用する図書館がある大田文化の森の道向かいにあり、事務所に生卵を投げつけていったひとがいるとかで追加でニュースになった。その後事務所前辺りにはパトカーが二台ほど常駐する事態となって余計な費用がかさんでしまっている。生卵を投げつけた犯人は名乗り出ておらず、彼に投票した人物なのか、投票しなかった人物なのか、棄権した人物なのか、大田区民ですらないのか判然としないが、野次を飛ばしたことを否定し嘘をついて匿名の靄のなかにまぎれようとしていた人物に匿名の人物が八つ当たりしたという辺り類が友を呼んだという感想しか思い浮かばない。

 

 昨年の都議会議員選挙、大田区投票率は44.5%に過ぎなかった。半分以上のひとが選挙に参加せずに都議会にひとを送り出した結果このようになったのだからいかなる言い訳も許されない。セクシャルハラスメントを平気で犯すような、かつそれを指摘された途端に嘘をついてごまかそうとするような人物を送り出すという行為をしたのは大田区民であるということから目を背けないでおきたい。下記に昨年の候補者と当落は書いているのでお時間があれば正しいひとが選ばれたといえるのか見直していただければとおもう。

 

大田区の2013年都議会議員選挙 - 椋箚記 大田区の2013年都議会議員選挙 - 椋箚記

 

 ただ彼ひとりを弾劾して済むような事態か、と問われれば違うだろうと私はおもう。彼以外の名乗り出ていない議員も同様に探し出して問責するのが最良の対策かというとそれも違うだろう(名乗りでるべきだろうとはおもうが)。都議会においてはそのような野次が質問者を問わず行われていたようで(情報元となった Twitter のポストを探したが見つけられておらずもしかしたら消されたのかもしれない)そもそも都議会全体のモラルが大変低い状態で維持されているという点に改善の余地がある。

 

 改善の可能性のひとつは選挙だろうとおもう。このような野次を飛ばすような人物でも自分の利益を代表するならば選出するのか、という問いかけが都民につきつけられて良いのではないだろうか。選挙期間における街頭演説や政見放送があっても良いだろうが、政見放送中に左下に別ウィンドウで普段の議会における振る舞いが映るとかあれば私はもうちょっと真面目に政見放送をみるだろうとおもう。都議会の映像をチェックして選挙時の情報として並べたページをつくってもよいかも。これは自分でやってみようか。

 

 あとは……議会中の発言権者以外の発言について制限、処罰するような立法をするか。発言者を特定すべき都議会自体がその問責案を否定している現状ではそのような議案が通る可能性は低そうだが、立法以前の自律に期待が持てないようならば超党派で心ある議員たちで真剣に検討してよいのではないだろうか。都議会でなくても、他の地方議会でも、国政でも良い。

 

 おそらくは「時には野次も必要だ」、とか「良い野次と悪い野次がある。良い野次まで禁止してよいのか」というような意見が出るだろうが、「発言権をもらうまで発言しない」という程度のルールが守れない人物に正常な立法ができるとは思えない。東京都職員において女性の臨時職員が厚生年金に加入できないような事態が起きていることと無縁ではないのではないだろうか。