大久保の小泉八雲公園

 新宿から東新宿をあるくことがあって、地図をみていたら「小泉八雲公園」というのがあるのを見つけた。どんなものだろうかと大久保のまちなかを職安通りから大久保通りを往復するようにふらふらと歩いた。

 大久保は韓国のひとが多い。看板もハングルだけの店があったりするなかを歩いていたら突然に白亜の公園が現れた。これが小泉八雲公園。

 東大の英語講師を辞したあと小泉八雲は早稲田大学の講師となったのだそうで、大久保1−1に住んでいた。公園のそばに小学校がありその向こう辺りが大久保1−1のようなのだが、そこで亡くなった。それを記念して公園ができたとのこと。写真の八雲の胸像は彼の故郷であるギリシャのレフカダというまち(島)から送られたものだそうだ。

 夜間は門が閉められるもので、浮浪者などは住み着いたりしていない。お昼時なのでベンチでほっとしにきた人が何人もいた。この気持ちはよく分かる。回りのまちの様子から隔絶していてぼーっとするのにこんないい公園はない。

 花壇がきれいで、ナミアゲハが、アオスジアゲハが、モンシロチョウが、タテハチョウ(ヒョウモンチョウかも)が、つがいで、あるいは1匹で舞っていた。

 折りしもこの日本屋に寄ると、初めて外国籍の作家として芥川賞を受賞された楊逸さんの『時が滲む朝』や他の著作が並んでいた。北京オリンピックを前にしたこの時期に選ばれたことにうがった意見もあるようだが、楊さんの作品は評価が高いようで読んでみたい気がする。

 芥川賞などというのは狭い範囲での見方であり、すでに明治期に彼のような文学者がいたんだよ、と自然に知らされるような小散歩だった。そういえば遥か昔に耳なし芳一を読んだ気がするが、楊さんよりも小泉八雲を先に読もうかな。