巴水のひかり

 昨年末から近くにある大田区立郷土博物館で「川瀬巴水―生誕130年記念―」というのが開かれていて、そのうち行こう、そのうち行こうと考えているうちに会期終わりに近づいてきて焦っていた。今日はこの冬二度目の大雪のあと、上の子は午後から塾だったりするものでちょっと近所にでかけたついでにみてきた。

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閉館間際に

 

 館内の案内をみると先週日曜日は「新版画摺師の仕事を見る」という催しがあったのに気が付いた。先週のほうが雪がえらいことだったが予定通りあったのだろうか。ほぼ家で過ごしていたのに惜しいことをした。そもそも以前も川瀬巴水の企画展が郷土博物館であった時も行きそびれているので本当につまらないことに気を取られているものだと反省する。

 

 ついでにいうと長い会期中で作品の入れ替えがあるので、ちょこちょこ見に行くべきだった。

 

 川瀬巴水さんは四十歳代のころに子母沢と平張にそれぞれ住んで居られた。子母沢というのは大田区中央の大森日赤病院辺り、平張というのは南馬込の馬込第二小学校辺りを谷底とする辺りでバス通り、というか臼田坂上の方にのぼっていく丘の途中に洋館を建ててすんだという。巴水の師である鏑木清方がやってきて「箱根のようだ」と褒めたとかどうだとか展示内の年譜に書かれていたがうろ覚え。だがこの家を建てた大工と揉めたりしたとも書かれていて苦労したようでもあった。ただ、この時期は彼にとって楽しい時期であったらしくも書かれてあったのを読んで嬉しくなった。

 

 見逃した「新版画摺師の仕事を見る」で摺りを実演された渡邊木版美術画舗さんのサイトで巴水の版画のサンプルを見ることができて、帰宅してから pinterest でみた版画を選んでみていた。彼の版画における色の濃淡のくっきりとした美しさ、特に光の表現に改めて見入ってしまった。

 

「野火止 平林寺」 川瀬巴水 | Art

 

『野火止 平林寺』という版画でどういう順番で摺っていくのかを示していたが、お堂や樹々の影に光がさすのをいかに鮮やかに描き出すのかというのが面白かった。もし実演がどこかであれば見に行きたいとおもう。