スピーチを成功させるためのたったひとつの要因
人前でスピーチをする機会など滅多にないが、するのは嫌いではない。
何故かというと自分の場合、大阪在住時代に何度か話を聞かせて頂いた、近藤三城さんという方の影響が基礎になっているだろうとおもっている。
近藤先生の肩書きをどう説明すれば伝わるだろうか。カタリスト研究所所長。経営者向けの研修講師であり、スピーチの講師でもある。
私が最初に聞いたのは「自己紹介」をテーマにした勉強会だった。「自己紹介」で人を惹きつけて、仕事につなげることまで出来る。「自己紹介」でいかに第一印象で短い時間で聞き手の興味をとらえるか。
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その後伊吹卓先生や鹿毛俊孝先生の話を聞くきっかけも近藤先生につくってもらったもので、そういうった意味でもとても御恩がある。
近藤先生の「自己紹介スピーチ」以外に影響を受けて未だに参考にしているのが、中谷彰宏さんの恐らく下記著書に出てくる、明石家さんまさんが番組で「続いてるネタでも捨てて新しい話に移る」というエピソード。
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あとは司馬遼太郎さんの講演における話し方に影響を受けているだろうか。
『スピーチの天才100人』
スピーチについて書いているのは、はてなブックマークでこの本について紹介した スピーチの天才100人 達人に学ぶ人を動かす話し方 - 情報考学 Passion For The Future を知り、購入したことから。
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優れたスピーチの一節を紹介し、スピーカーの人となりやスピーチが生まれる背景、そしてどのようにして効果的なスピーチを生み出したのかということが解説してある。
勿論各論として様々なテクニックも紹介されているのだが、挙げられている100人の大半において言及されている、スピーチを成功させる要因というのがあった。それが。
「入念に準備をする」
難しい事でもなんでもなくて、入念に準備をしたうえでスピーチに臨む、ということだった。
リハーサルを行い、自分が理想とするスピーチができるよう準備し、スピーチにより聴衆に最大限に影響を与えられるよう努めた、ということ。
リハーサルだけでなく、自らの文章の才能をもって優れたスピーチ原稿を書くこと(トーマス・ジェファーソン、P.173)や、優れたスピーチライターを擁する(セオドア・ソレンソン、P.321)ことも準備のうちのひとつに入るだろうとおもう。
吃音などのハンデを持っているひとで、克服するために通常の人よりも努力をして結果的に優れたスピーチの技術を手に入れた人もいる(ウッドロー・ウィルソン、P.352-353)し、資力が許すならばスピーチ専門のトレーナーと契約する(ラニア王妃、P.287)。
結局スピーチのテクニックなどから入るより、いかに準備を漏れなくするかが大事、という考えに共感するのは理由があって、新幹線で偶然席が隣り合った方の振る舞いから学ばせてもらったことに由来する。
レイルスターのとある車両の一番前の席に座っていた私の横に、広島か福山から乗り込んで来て座られたれたその方は、ノートPCを開けると MS/Power Point で作成した資料を開き、画面を指さし確認しながら講演のリハーサルを始められた。1回だけでなく、何度も同じ資料で繰り返して、声は出さずに練習をされる。
OSは確か当時出で間もない WindowsXP だったと思う。私は練習の邪魔になるのに、感銘を受けたあまり、XP の使用感を尋ねるところから話しかけ、結局途中から新大阪駅に付くまで、ずっと話をすることとなった。名刺を頂いてその情報を取ってあるもので、2002年の3月4日、実家から当時住んでいた大阪に移動している新幹線の中でのことであったことも記録に残している。
この方は山口真一さんという方であった。
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やはり人の前に立って講演するくらいの人は話好きなのだろうか。練習を遮ったことにも嫌な顔はされず、今の仕事に就かれるまでの経緯などをいろいろ話して下さった。自動車販売の営業の仕事をされていた時にトップセールスを記録し、今の仕事を初めてからその自動車メーカー本社に呼ばれて行った時、その時の営業記録を記したパネルが掲げてあってとても嬉しかった……というお話しを聴いた時は、それくらいの営業成績を上げる人はああいう準備作業を見えないところで積み重ねているのだな、と感じたものだった。
その時の感銘が今もあって、自分が Power Point を使ってプレゼンをするような場面があると、中村さんの真似をしてひとりリハーサルをすることにしている。
日本の100人を選んだら
『スピーチの天才100人』で選ばれている日本人は小泉純一郎氏だけで、苦笑いを禁じ得なかった。確かに小泉氏のスピーチの巧みさは周知の通りで、その治績をあまり評価していない私でも認めざるを得ない。
では本当に他に日本が誇るスピーカーはいないだろうか。
政治家でいうとどうも同時代の政治家に本当の意味で人に影響を与えるような弁舌を持った人は思い当たらないような気がする。犬養木堂(毅)、尾崎咢堂(行男)まで遡ってしまうような感じ。更に遡ると板垣退助。
西郷隆盛や坂本龍馬、高杉晋作といった人物が演説の才があったかどうかわからないが、吉田松陰先生はディベートの強さから見てきっとスピーカー、アジテーターとしても一流だったのではないかと思っている。
あと、私は仏教という教えが割りと好きであれこれ読んだりするが、江戸時代の盤珪永琢禅師は外せないと思う。盤珪禅師の説法は宗派外からも聴きに来て、お堂に入り切れないほど集まったと読んだことがある気がする。
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もっと遡って良いならば、日蓮。法然と親鸞。空海と最澄。特に最澄はディベートには圧倒的に強かったと聞く。
原稿という観点から作家について考えてみると先ほど司馬遼太郎を挙げたが、川端康成のノーベル賞スピーチなどを思い出す。今だと村上春樹。夏目漱石など教職にあったひとだから、という気がするがどうだろうか。三島由紀夫は挙げる気にならない。現東京都知事はもっと挙げる気にならない。
経営者だと、松下幸之助、本田宗一郎、小林一三。前述の伊吹卓先生は松本幸之助、小林一三に加えて江崎利一を尊敬してその部下の育成手法を研究されていた。
そんなことも考えながら読んでいた。それだけでひとつブログが作れそうだ。
最後に
ライフハックのエントリーを気取ったようなタイトルで書いてしまってごめんなさい……