椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

那須街道往来

那須の宿

 会津から那須まで移動しての宿は、那須街道からわき道に入った奥にあった。昨晩はすっかり暗くなって山道を走ったのでよく分からなかったが、宿の直前では広葉樹が両脇から道路に覆いかぶさって、トンネルのように見えた。思ったより山の中だった。「ホテルレジーナ那須」という。

 ご近所さんに教えて頂いた宿で、こちらは楽天トラベルでメゾネットタイプ、つまりホテルとは言いながら一戸建ての部屋を予約しておいた。

 チェックインして部屋に入ってみるとすぐ脇にベッドのある寝室、階段を下りるとリビングと洗面所、お風呂。逆に階段を上ると和室もある。リビングには流しがあって、電子レンジと冷蔵庫が付いている。寝室にはパジャマもある。寝室にはもちろん布団。思っていたよりもいろいろ用意してあった。平日前の宿泊ということもあるが、決してそんなにばか高い宿泊料ではない。

 家内がすっかり気に入って、いつか親を連れてきたいと言っていた。これだけ部屋があると親にはベッドに寝てもらい、自分らは和室で、などという泊まり方もできる。

 電子レンジがあると確認しておけば、那須街道沿いのコンビニで何か買って行ったのだが、その日は疲れてもいたので敷地内にあるレストランに急遽予約を入れてもらい、少なめに食事をした。

 翌朝も快晴である。少しだけホテルの敷地内を歩いた。

 明るくなってみると周りにもペンションが集まり、木で組み立てた通路でつながっている。敷地の隣は別荘地となっており「住人以外は立ち入り禁止」という不動産会社からの通告が立ててあった。那須ハイランドパークという遊園地が近くにあるらしいが全く分からないほど静かな山のなかである。

 朝食は持ち歩いているお菓子を部屋で食べて済まし、チェックアウトした。毎度のこと、家内が付近の地図などないか尋ねるとフロントの方は観光用のマップを出して来られた。「南が丘牧場など、子供さんは喜ばれるんじゃないでしょうか」。そのアドバイスで、行き先を決めた。昨日まで私の行きたい場所に連れまわしたから今日は子供のための日と決めた。

 車を出す直前に次男がチャイルドシートから車外に転げ落ちて頭を打つハプニングがあり少し出発が遅れたが、那須街道に戻るみちを走り出した。途中、道に何かいるとおもったら野性の日本猿だったので思わず車をとめて見てしまい、更にゆっくりとなった。

南が丘牧場

 那須街道を北に行き、一軒茶屋という名の交差点を西に曲がると観光用の牧場があった。南が丘牧場という。広い駐車場があって、入り口には売店も並んでいる。おみやげ物や、ハム・ソーセージ専門の店など。

 牧場に着く前に、次男が寝てしまった。頭を打ったあとだけに心配で、起こさずに寝かせておくことにする。家内が一緒に自動車に居て、長男を連れて牧場に行った。

 牧場では馬に乗ったり、山羊を抱いたりできるのだが、長男の目を奪ったのは川を塞き止めてつくった生け簀に放たれているニジマスだった。餌の自動販売樹があって、ニジマスに餌をやることができる。100円で餌を買って長男がまくと、ものすごい勢いでマスがやってきて食べる。それが長男の好奇心に火をつけたらしく、もっと餌をやりたい、と言って都合500円を費やすことになった。生け簀には鯉やチョウザメも泳いでいるのだが、食欲旺盛に食いついて長男を面白がらせたのはニジマスだった。馬に乗るか? と水を向けても「いやだ」と言う。この辺り、怖がりな私に似ている。

 次男はかなり長い間寝ていた2時間近くそうしていて、やっと家内も出てきて牧場を歩くと、生け簀の下流は釣堀になっている。子供たちがやりたいというので、お金を払って釣竿と練り餌を借りた。先に何匹釣るか決めて先払いするのである。餌を私が付けたら何度目かで長男が釣り上げた。

 釣ったニジマスはワタ抜きと串打ちをその場でやってくれて、その場で各々焼いて食べることが出来るようになっている。

 焼くのに30分くらいかかるというのを考えずに釣ってしまったため、えらくのんびりと牧場で過ごすこととなった。子供らはちょびっと食べ、あとは私と家内で平らげてしまった。

 さあ行こうか、と思ったらニジマスを連れなかった次男が欲求不満でまだ遊ぶ、と泣き出してしまった。馬にも乗りたいという。ここら辺、兄弟で性格が違うところである。次男の方がチャレンジ精神は旺盛なのだ。ただ時間もなかったので、せめてと馬や驢馬に餌をあげさせた。ニジマスと同じ自販機で買った餌を馬たちが食べる。あの餌は何でできているのだろう。

 ニジマスの塩焼き以外にも、お客さんがみな買っていくソフトクリーム、ピロシキなどを買い食いしたので、昼食はそれで済んでしまった。

那須街道沿い

 那須というと私や家内などは御用邸しか思い浮かばないで来たのだが、実際に那須にいるときにはどこに御用邸があるやら知らなかった。南が丘牧場から見て那須街道の向こう(北東)の広大な土地がそうであったらしい。ホテルで頂いた地図には載っていなかったのは当たり前かとも思ったが、御用邸の敷地の半分を一般に公開する、という決定が今年の6月に出ていたのもあとで見つけた。

 那須街道沿いを自動車で行ったり来たりしただけだったが、道沿いには大規模な店や施設が並んでいた。この土地に別荘を持っています、というような人ならばどのお店がおいしいとかお分かりなのかもしれないがそんなこともさっぱり分からずに高速道路にのってしまった。

 実は今回の旅行でもう一箇所行きたい場所があった。那須から一般道、恐らくは国道294号線を白河に向かって戻っていき、国境にあるらしい「境の明神」とよばれるところである。『街道をゆく』で司馬遼太郎さんが






 こんないい所へくるというのも、生涯で何度あるかわからない。

 と書かれているので行ってみたかったわけだが、とてもそんな時間はなかった。それに今日は子供のための日にするのだった。

 といって南が丘牧場で時間を取りすぎてしまい、他はそんなに見る時間もなかった。地図を見るとサファリパーク、「蒸気機関車SLランド」、「クラシックカー博物館」など子供の興味を惹きそうなものが載っていたが素通り。家内が「おいしそうなパン屋さんってないかな」と言っていたが、店構えを見ただけで結局は寄らなかった。

 実際に通って一番目をひいたのが「戦争博物館」という場所だった。なにしろ建物のまえに全体が錆びて今にもくずれそうな戦車が置いてある。

 ただ、つくりがチープだな、とも思ってあとで調べてみたが、展示物に映画のロケに使われていたレプリカが入っていたりして玉石混交のような話だった。入場料も高かったようなので、寄らなくて良かっただろうか、という感想だった。

 高速は都内に入るまでは順調だったが、首都高速で大渋滞となり、一般道におりて帰った。既に暗くなっていて、さすがにこどもた疲れたらしくしきりに不満をいい、家に着く直前に長男は寝てしまっていた。

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