補助第29号線と馬込

 大森駅からジャーマン通りを通って環七通りに出る辺りを馬込銀座といい、昭和三十年代には繁華を極めた商店街であったことは何度か書いている。今はまぁ、かつての賑わいはないが「山王銀座商店会」として存在している。環七通りから少し東馬込に入ったところから西大井の方に向けての通り沿いには「山王ロマンチック通り」という幟がかかげてあり戸建て住宅になってしまった部分がありはするが店が並んで商店街の体を保っている。

 

 その馬込銀座商店街を歩いていたときに、ある御宅の前に手書きで貼り紙がしてあるのに気がついた。「我が家は補助29号線工事に賛同出来ませんので測量、調査、捺印等一切のご協力は致しません。測量業者の声掛無用です。お引き取り下さい」とあって丁寧だが憤懣を押し殺していることを隠していない筆致である。

 

(はて補助29号線とは何だろう)と思ったのだが近くにある商店会の事務所のようなところには補助29号線についての計画地図のようなものが貼ってあった。上記貼り紙を貼り出すに至る詳細は知らないまでも、こんな計画を出されたらそりゃあなぁ……という気になった。以下がその地図になる。

 

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 この地図を見たとき(これは怒っても仕様がないか)と思った。住宅地をぶち抜いて、商店街をぶった切って幹線道路を通そうという計画だというのが理解できたからだ。地元に住んでいる者としては直感で有りか無しかというのが分かる感じのものだった。上の写真の右の「補40」の文字の「補」の辺りから西に行って「R=250M」という小さい文字の辺りでJRの線路をくぐるまでが「山王ロマンチック通り」の商店街。なお環七を越えた先も道路を拡張しようと考えているように描かれている。この道は馬込萬福寺の門前を通り丘を越えて西馬込の地下鉄車庫の前を通って第二京浜道に行く道で、環七近くは一方通行、その先も片側一車線の住宅地の中の道路である。

 

 調べるとこの道路は大崎から馬込辺りまでのバイパス道路として計画されているらしいと分かった。

 

www.metro.tokyo.jp

 

 上記東京都の発表にリンクされているPDF文書を読んで、戸越公園辺りでずっと工事をしているやつだ……と気がついた。ただあそこからどこに通す道路なのかまであまり深く考えたことがなかった。まさか我が地元の方に来る道路だったとは。

 

 この道路のために地上げの対象となる方々は冒頭の貼り紙の御宅に限らず多いようで反対運動も行われている。

 

都道補助29号線建設に反対する 品川「住民の会」連絡会

 

 ただ私も知らずにいたことをおもうと十分には知られていない状況なのではないだろうか。計画されている道路の全てがダメではないかもしれないが、少なくとも馬込を通る道路が必要なようにはどうにも思えない。

 

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 上の写真が「山王ロマンチック通り」で交差点の向こうが補助第29号線が通ることが図面上計画されている箇所。右が北側で、左が環七がある方になる。冒頭の地図が掲示されてあった商店街事務所はちょうど交差点の向こうの左側、補助第29号線が通る辺りにある。

 

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 これは南馬込の方から補助第29号線が環七通りに出る箇所を撮ったもの。この居酒屋や奥にある御宅も壊して通そうという計画だということ。この路地を後ろに歩いて行くと馬込萬福寺の前に至る。

 

  現在計画されている整備路線の地図があったのでリンクさせていただく