古い店舗の生き先

 池上本門寺の門前に「蓮月」という蕎麦屋があった。「蓮月庵」だったかもしれない。本門寺の山門を前にして左の方に行くと本町稲荷があるが、その前辺り。

 

 先日閉店されたときいた。行ってみると貼紙がしてひっそりとしていた。天使のラッパの花が美事に咲いているのが却って寂しい。

 

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 閉店の詳しい経緯は存じ上げないが跡継ぎがおられないとか、そういうことだろうか。ちなみに私は一度だけこの店でざるをいただいたことがある。馬込にきて割りとすぐのこと、2005年8月28日の日曜日のことだった。尼崎生まれ奈良育ちの長州人という西日本属性の私としては東京の蕎麦は店によって出汁の匂いが合わなかったりすることもあるのでどうだろうかと思いながら当時頼んだようだがそんなことはなかったようで「おいしかった」と書き残している。

 

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 それから一度も訪れていないから私にこの閉店についてどうこういう資格はない。ただこれだけの風情のある建物、しかも多少参道から離れているとはいえ本門寺の門前である。これから店をやろうと考えているひとに使ってもらえる道はないだろうかとおもう。

 

 店舗がやっていかれなくなってしめてしまわれるのは時に致し方ないことではある。それにしてもあっけなく店が潰されて新しくビルが建つ……という味気ない光景を私が住むようになってからの馬込近辺でも何度もみてきた。ダイシン百貨店の向い側辺りにもよさそうな店構えの蕎麦屋があったがあっという間に更地にされて今はビルになっている。馬込銀座にあった天ぷらの「天勝」も昨年2013年の6月に閉店、今は建て替えられてしまっている。

 

 一方で南馬込のバス通り沿いにある「アンナプルナ」などは以前はやはり蕎麦屋の「松登久」だったと記憶しているが、閉店後に居抜きで入られた。近隣はカレー店も結構多いが地元に好まれる店になっていて現在に至っている。このようにたとえ商売が違ってもこのように新しく店が入って使い続けられるのであればまちにとっても良いことだとおもう。

 

 最近閉店をみて蓮月と同じように「惜しい」と思った店がお隣り品川区の中延商店街にある。薬屋の「小塚仁成堂薬局」である。

 

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 まだ店をやってらっしゃった時に前を通る度に(なんて年期の入った店内なんだ)と感心していて写真をとったことがあったような気がしたが今振り返って写真フォルダを見返しても出てこない。惜しいことをしたが中延商店街さんのブログに店舗紹介のページがあるのでリンクを張らせていただく。

 

nakanobu.exblog.jp

 

 ブログの写真でもこの店内の「いい感じさ」が伝えきれてないように私には思える。裏に調剤室を持ってらっしゃるのかどうかガラスか何かで仕切ってあるように見えたが気のせいだろうか。店は奥行きがとても浅くなっていて並べてある商品もちょっと懐かしい感じの薬が多かった。母方の実家が薬局だった身としてはたまらない郷愁を感じていた。

 

 これも商店街の中で新しい店を出せるような店子を探せれば良いのだが。