座法の間合い

 7月13日の大田区合気道会の稽古で座法の一教の稽古をした。立ち技での一教から四教はよく稽古するが意外と座技は数をやっていない。座技の場合の入り身の際の脚、膝の使い方などひさびさに復習する気持ちだった。

 

 稽古しつついろいろ考えたことのひとつに技に入る前の間合いがある。つまり、相手と向かい合って正座した時の距離の取り方。

 

 説明では「昔の稽古ではもっと距離を取った」という話しがあった。武器を持つ前提を取るとどうしても間合いは遠く取ることとなる。昔はその前提で距離をとっていた。

 

 座って向かい合っているとして、打ちかかる際の武器を考えると太刀も無くはないが通常は抜きにくい右に置くという礼儀が前提にあるから実際には想定し辛い。隠し持った短刀で襲う……ということは考えられるから短刀で斬りつけることを考えた間合いということになるだろうか。

 

 最近の稽古においては若干近めの間合いから稽古することが多いらしい。演武で探せるかと2010年5月の全日本合気道演武大会の植芝守央道主の演武を見させていただくと、植芝充央本部道場長代行の受けで座技がある。下記の4分25秒辺りからになる。

 


Excellent Aikido Demonstration Ueshiba Moriteru ...

 

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 スナップショットは入り身が始まった直後なのでこの一瞬前が構えというところ。これは動きながらなので間合いが「近め」とは言い難いだろうか。いったん座ったところであわせるともう少しだけ、近くなるかとおもう。

 

 実は稽古しながら大阪市立大学合気道部の一回生のころの座法一教を思い出していた。上記とは全く違う間合いで稽古をしていた。ほぼ、膝を突き合わせた状態で手刀をあわせるところから稽古をしていた。今からおもうとちょっと、近過ぎだ。

 

 一回生の座法は夏合宿で叩き込まれるもので、予備練習から夏合宿までひたすらやらされた。我々の学年もそうだったが合気道有段者が入ってくるようなことは比較的少なく初心者がそろうので理解し易いようにと手刀をあわせたところからの稽古としていたらしい。ただ、私の三代上の先輩が近い間合いの座法で見事に演武を構成されているのを見たことがあり当時の大阪市立大学合気道部の理論では「有り」な間合いだったのかもしれない。最近はどのように稽古しているだろうか。

 

 来月にはその夏合宿が戸狩で行われる。私達のころ、1回生だと1987年は宿泊する「南の家」の裏にある建物を道場に使っていた。直射日光が窓から容赦なくさす環境で座法で受けを取ると畳が熱くてやけどしそうだとか言いながら稽古していたものだった(よく畳の上に生卵落としたら目玉焼きができる、とかなんとか言っていた)。この建物は私が最後に合宿に参加した2000年頃の時点ですでに建築会社の事務所兼資材置き場かなにかになっていた。

 

 その後「南の家」から丘をおりていく途中にある「戸狩アリーナ」と呼ばれる体育館を使うようになった。更に1998年の長野オリンピックの辺りでアリーナの近くに「トピアホール」という立派な体育館施設ができてそちらも使うようになった。おそらく私達の時よりは畳の熱されようはましになっているはずである。今年も私は参加できない予定だが、より多く、正しい形の一教を身体に叩き込んできてくれたらと祈念している。