ブックリーダーくらべ
iPhone にブックリーダーが２種類、入っている。先に購入したのが豊平文庫。後で同様のアプリがあると知って購入したのがi文庫。いずれもおもに青空文庫で公開されている、著作権保護の期間を過ぎた作品を読むためのもので、いわば青空文庫リーダーといえる。
豊平文庫については以前も書いたことがあるが、そのUIの美しさで衝動買いした。i文庫はその後、Twitter 上での会話でその名を知って購入した。どちらも450円。
Kindle が出回ってきたいま、Kindle を見ずしてブックリーダーについて語ってよいものか自信がなくなってくるが、iPhone で本を読むのに上記に加えて AppStore で購入した小飼弾さんの書籍『弾言』と『決弾』を材料にブックリーダーの使い心地を比較した感想を２点ほどメモしておきたい。『弾言』と『決弾』は T-Time touch で製本されている。
リスト（本棚）の User Interface
青空文庫とi文庫の作品の取り込み方はほぼ同じで、アプリケーションを立ち上げてアプリから青空文庫に接続、テキストデータを取り込む。取り込んだ作品は iPhone の画面で横書きの一覧で表示されるので、タップして選ぶようなインターフェースになる。ダウンロードまでのメニューが一見違うが、実際はほぼ同じになっている。
一方 T-Time touchi で製本された『弾言』と『決弾』は iPhone app としてダウンロードできるようになっており、画面にそれらのアイコンが並ぶことになる。
書籍が多くなってきた時にこのインターフェースがどうか、という気がするが、iPhone 内は検索できるようになっているのでそれはそれでいいのかもしれない。私はとりあえず書籍データを固めてひとつの画面に置いている。
なお、豊平文庫、i文庫、T-Time にはあてはまらないが、PC向けのブックリーダーソフトでリアルの本棚を模した一覧インターフェースを導入しているソフトがあるが、好ましくないと思っている。色がバラバラだったり、本の大きさが揃っていなかったり、見るに耐えない見栄えを呈している時がある。
参照方法としては今後おそらくは Kindle や iPhone、Android携帯端末などになってくるだろうからその端末において最適な操作性を追求すればよいとおもう。コンテンツが読み易ければ良い訳なので、本棚の見た目などは忘れて、いかに早く快適に作品を開けるかという点に集中すれば良い。iPhone のスクロールが現時点では良いとおもうが、音声読み取りからの検索や素早い候補表示などまだ上はあるのではないだろうか。
ページめくり
ページ表示におけるフォントや禁則処理の美しさはそれぞれに努力が積み重ねられていて、既に甲乙つけ難いと言ってもいいレベルではないかという気がしている。
そうなるとどこに違いが出るかというと、私は改ページの瞬間ではないかという気がしている。
例えば i文庫で改ページをする場合は指で横にずらしてスクロールさせるか、画面を一度タップして操作用コンソールを表示させ、下に出る次頁、前頁のボタンをタップするか、になる。このようにページに操作用コンソールをかぶせて表示させると、当然文章が見難くなるので私は好きでない。特にページ間に本当の本のように隙間があるのは、見難い。
更に言うと i文庫の改ページは紙芝居を引き抜くように横に動くのが見える。
豊平文庫の改ページに慣れてしまうと、このような改ページは遅く、疎ましく感じてしまう。
豊平文庫においては、指でずらしてのスクロール以外に左右の下隅をタップすることで改ページができる。この場合ページは一瞬で置き換わるような見え方になる。この隅タップでの改ページで立って「本」を読む、という操作を覚えてしまうと離れられなくなる。
豊平文庫は操作用コンソールを表示して場合も見やすい。２回タップでメニューが表示され、「ページ指定」を選ぶと本文ページと重ならず、コンソールに囲まれて縮小したページが表示される。この場合はページ間に枠線があるが、横にスライドするのではなく枠の中で文章が入れ替わるので見難さは感じない。
T-Time touch で製本された『弾言』『決弾』だが、この中間という印象で改ページ時の動きがややゆっくりに感じる。通常は指でのスクロールで改ページする。扱っているのがテキストではなく、ドットブック形式でイラストや写真のようなものまで扱うことになるので無理からぬことなのかもしれないが。
あと、T-Time touch でもタップで改ページさせるのだが、指で下にスクロールして上部にコンソールを表示させて矢印タップとなる。この時の改ページがさらにもっさりしているのと、コンソール表示によって一番下の部分が隠れてしまったりする。これではちょっと使えない……
