南馬込の森

 郵便受けに佐藤伸という区議さんの区政報告が入っていた。A4サイズの片面だが、書いてある内容は重要なことだった。

 ちなみに佐藤氏は日本共産党所属で、大森駅の山王口で朝、定期的に街頭に立って演説されているので顔と名前が一致する区議のひとりである。

 区政報告の内容は「南馬込二丁目の自然林を大田区が購入・保護へ」というタイトル。

 この森に関東財務局からの売却告知の立て看板が立ったのは知っていた。最近は看板が撤去されていたが、本当にこの森を切り崩そうと考えているものがいたのだと知って慄然とした。

 大森駅より西側、山王や馬込地区をGoogle Mapの航空写真などで見ると、立錐の余地ない住宅地であることがわかるが、一部山林が残されている場所があるのがわかる。山王草堂であったり、佐伯栄養専門学校の敷地の森であったり。池上本門寺もそうだ。上記南馬込二丁目の林も上空から見るとそれに遜色ない規模で樹木が残っている。

 東京で住む場所を決めるにあたり、医療や育児補助の手厚さ、地震を考えて地盤の良さ、子供が育つにあたっての環境などいろいろ考えたが、環境という側面「この森がある馬込に住もう」というもの判断の根拠のひとつになっていた。

 賃借人として何を言える立場でもないが、もし馬込の住人の端くれとして認めてもらえるならば、この森は増やすことがあっても絶対に削ってはいやだと感じていた。

 私などが知らないうちに地元の方が陳情し、受け入れられて大田区が購入し緑地として公園のような活用方法を考えることになったそうだ。この国の税制には欠陥があり、地主が土地を持ち続けるのもときに難しく、持ち主が開発業者に代わることで安易に木が切られてしまうようなことを起こしてしまう。

 ちなみに陳情した住民の代表の方の話として、都市整備委員会委員長(公明党所属)から「時期を逸しているので陳情を取り下げるように」と電話があった、と書かれていた。

 これは日本共産党からの情報のみなので次の選挙を意識した記述なのかどうか判断に困るが、本当であったとしても公明党の代議士などシラを切るだろうし、自民党や公明党の所属議員がゼネコンや住宅開発・販売会社の利益を優先して森を潰すというのは他の事例がありさもありそうなことではある(たとえば近くの東馬込の桜屋敷の取り壊し→マンション化)。それをさも地域のためというような甘言で言いくるめようとするからたちが悪い。

 この森も伐られないように、という切実な観点をもって見守らねばならない、ということがとりあえずわかった。


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