椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

アメリカンフットボール競技の、危険行為について

 アメリカンフットボールという競技を過去に一回だけ、現在の大阪長居公園キンチョウスタジアムになっている球技場で観たことがある。それ以降テレビも含めあまり見たことがなくルールもよくは知らない。ただこの度たまたま、アメリカンフットボールについて気になった記事をいくつかみつけたので二回に分けて書いてみたい。今回は一回目、いまニュースでもしきりに取り上げられている、日本大学関西学院大学の試合での危険行為について。

 

 最初に知ったのはスポーツフォトジャーナリストの三尾圭さんの書かれた記事で。

 

news.yahoo.co.jp

 

 これを読んだ時に最初に思い出したのが 2013年に東京都合気道連盟の指導者講習会で、脳震盪への対策についての各競技の動きをきいたことだった。競技団体として脳震盪への対策を徹底することを最初に決めたのがアメリカンフットボール、それに続いたのがラグビーだということだった。その時の文章のリンクは末尾に貼っておく。

 

 脳震盪への対策の早さについて聞いていたから、その方針に逆行する、あるいはそれ以前のレベルの反則行為が行われているのには驚いた。更には三尾さんが書かれているように、その危険行為がそんなに問題視されていないのではないか、と思われる節が感じ取れるのに違和感を感じた。

 

本来ならば、試合を現場で取材していたメディアが指摘するべき問題だが、軽く触れられた程度で問題提起はされていない。そのような危険なプレーを許していては日本のアメリカンフットボール界を滅ぼしかねないと危惧したために、アメリカ在住で、試合にも足を運んでいない私が僭越ながらも提言させて頂く。

 

 審判はアンネセサリー・ラフネス(不必要な乱暴行為)として15ヤードの反則を宣言。反則を犯した選手や日大のサイドラインに向かって、警告を発することもなかった。日大のサイドラインもこの選手をベンチに下げて、危険なプレーを注意することもなかった。

 ルール上は審判の判定は正しく、試合を主催した関東学生アメリカンフットボール連盟に電話をして確認したが、連盟としても対象選手や大学にこれ以上のペナルティーを与えるつもりはないとの回答が返ってきた。

 

 太字は引用時に筆者が付した。正直なところ審判の判断も温いといえば温いが、見過ごしはあり得ることだ。ただ事後でチェックできるはずの関東連盟が問題意識を持っていないようにみえるのは気になった。選手の身体を守る方向への転換を真っ先に取ったときいていた競技団体が、その実は有名無実の状態になっているのだろうかといぶかることとなった。

 

 関西学院大学側はどうだったかというと、二番目に読んだ記事に日刊スポーツのインタビュー記事の引用があった。アメリカンフットボールをテーマにした「RED ZONE」というサイトを運営されている本村恭平さんの書かれたもの。本村さんは WILD359ers というクラブチームに所属されていて、NFL FLAG大会の実行委員もされている。フラッグフットボールというスポーツの大会で、これはアメリカンフットボール発祥の、タックルの代わりに腰につけたフラッグを取るルールになっているスポーツ。

 

qboekendorp.hatenablog.com

 

関学大はミスにつけ込んで先制し、一発TD2本で勝利も、鳥内監督は不満が口をついた。「たまたま点が入って勝っただけや。OLはつぶれているだけ。ランにこだわっていたが話にならん」。攻撃はラン、パスとも日大を下回り、後半は無得点に口をとがらせた。序盤で先発QB奥野が日大の反則で負傷し、後半復帰も思惑が狂った。「あいつのための試合だったのに」とご機嫌ななめだった。

 

関学の鳥内監督はいろいろとあけすけに語ってくれる人ですが、よく「ご機嫌ななめ」で済んだな、というのが個人的な印象です。

 

  関西学院大学の鳥内監督は試合直後は自チームのよくなかった点について目が行っているのか、日本大学の選手の危険行為については言及されていない。その後危険行為について指弾する意見が次々と発表され、更には QB の選手の怪我が思っていた以上に酷かったことでことの重大さに気がついた……ようにもみえる。

 

 関西学院の監督の反応はさておき、関東学生連盟はこの後方針を変えて危険行為を行った選手の対外試合出場停止を発表した。この対応のブレをみていると、最初に私が感じたことが確信に変わってくる。今回の問題が日本大学アメリカンフットボール部に限ったことではなく、アメリカンフットボールの競技当事者のなかでは全体的に選手の安全への配慮がおざなりになっていたことが表出したのではないだろうか。勿論後者の方が問題点としてはずっと根が深い。

 

 救いなのはアメリカンフットボールの周囲には問題意識を持ってみている人がいて発言していることで、引用したおふたりの記事のあとに、アメリカンフットボールのデジタル専門誌「ハドルマガジン」の上村弘文さんの記事も読んだ。

 

huddlemagazine.jp

 

今回のラフプレーは、対戦相手はもちろん、競技の品格を傷つけるものだった。仮に相手に重大な負傷をおわせてしまえば、反則をした本人も深い傷を負うことになる。

闘志をはきちがえた、あまりに稚拙なプレーを見せられた落胆と怒りは多くのフットボールファンが感じている。

私もその一人である。

「周囲の期待を裏切るのは男ではない」

かつて、日大を率いた篠竹幹夫監督の教えを受けたOBの方々から教えてもらった言葉だ。 この一戦を契機に、日大が正しい必死さをフィールドで表現するチームに生まれ変わってくれることを切に願っている。

 

 このような指摘が複数あがってテレビのニュース番組も報道することとなった。そしてハドルマガジンは続けて危険行為の指示が日本大学の監督・コーチから選手にあったとの証言があると報じた。

 

huddlemagazine.jp

 

 その後の日本大学の組織としての対応のまずさについては別に書こうかとおもう。ここでは日本のアメリカンフットボールはその体質に問題をはらんでいるということ、だけれどこれだけきちんとみているひとがいて、積極的に発言する競技だということを書きたかった。柔道だとか、剣道だとか、相撲などの他の武道、あるいはサッカーだとか、ラグビーだとか、バレーボールなどのスポーツに目をやることがあるのだけれど、こと問題が発生した時に賛否両論がすぐに出てくるときと、出ないのをみることがある。もちろんさまざまな議論が出る方がよく、その点アメリカンフットボールは問題があるにせよここから良くなる余地を残している競技だと言える。

 

(以前アメリカンフットボールと、ラグビーについて書いたもの)

mukunokiyasuo.hatenablog.com

 

mukunokiyasuo.hatenablog.com