平昌オリンピックのカーリング日本代表チームが世界選手権へ出場できない件

 基本的にここでは「合気道」というカテゴリーを設定して自分が稽古している武道について書いているのだけれど、時々他の武道や競技について言及することがある。体罰のような傷害事件が報じられた時であったり、部活動における事故について言及した時であったり。オリンピックのようにテレビで非常に多くの競技の映像をみることによって何かしらを感じて書くこともある。

 

 印象深いのは、古くてすでにいったん手元のバックアップしかなくて公開はしていないがテコンドー日本代表について2004年2月に書いた一連の文章で、競技団体がふたつ存在しており団体間をオリンピック出場に向けて統一を図ろうとしなかったためアテネオリンピックに出場できないかもしれない、という問題について意見を述べたものだった。結果として競技団体の統一は間に合わなかったが、選手は個人資格で出場することが出来た。岡本依子選手について書いた文章は、結構気持ちを込めて書いたのを覚えている。

 

 このたびの平昌オリンピックの時期にちょうどインフルエンザに罹患してしまい一週間家に籠っており、NHK の動画配信をしきりに見ていた。カーリングも男女代表とも試合をみていて、女子代表の銅メダルが決定したイギリスチームの最後のショットの結果が出た際には声をあげたひとりだった。注目を集めた競技のひとつだと思うがそんな中気になる話を聞いた。男子代表のSC軽井沢クラブ、女子代表のLS北見とも今年のカーリング世界選手権には出場できない、という話だ。にわかには信じられないことだが、SC軽井沢クラブの両角夕佑選手のインタビューに出ていた。

 

 僕たちは選手なので、正直やれることは限られています。3月に世界選手権がありますが、自分たちは五輪直前にあった日本選手権に出ていないので出場できません。日本で試合をするチャンスもないですし、世界に出るチャンスもなくなってしまった。カーリング熱が高まっている一番おいしい時期に何もできないんです。

両角友佑が語るカーリング界のリアル 「今の強化方法には限界がきている」(スポーツナビ) - 平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック特集 - スポーツナビ より。公開期間が終了しているので引用のみに変更しています

 

 いうまでもないが他の競技ではオリンピック閉会後次の大会に選手たちが向かっている。スピードスケートはベラルーシで開催のワールドカップに、体調不良の小平奈緒選手以外は各選手が出場しているし、イタリアで開催の世界フィギュアスケート選手権も同様。スノーボードハーフパイプ平野歩夢選手は先日USオープンで優勝してみせたがこの大会はXゲームズと並んで世界最高峰の舞台だと聞いた。ノルディックスキーノルウェーで開催のワールドカップにジャンプなど代表選手が出場している。これが普通で、「オリンピックのあるシーズン」としてスケジュールされている。

 

 それを思うと日本カーリング協会の立てたこのシーズンのスケジュールはなんともちぐはぐで、選手のことを最優先に考えたとは思えない。カーリング競技への気持ちも疑ってしまうし、仕事のやり方としても評価し兼ねる。

 

 オリンピック後にオリンピック代表チームのメンバーで混合ダブルスを組んで特別推薦です出場と発表されたが、これも慌てて考えて苦し紛れに決めたという印象を持つ。

 

www.nikkei.com

 

 カーリングは女子代表が銅メダルを獲得したことでお祝い的な報道に終始しているが、もう少し日本カーリング協会の対応を問うような論説があっても良いのではないかと感じている。朝日新聞は昨年の夏にSC軽井沢クラブが質問状の提出を検討していることを記事にしているのだが。

 

 救いなのは日本代表チームがこれ以上この件について争わず前を向こうという態度を表していること。SC軽井沢クラブは本年度の日本選手権に出場出来ない問題について公開で日本カーリング協会宛の質問状を出していて、協会も回答を返している。納得のいく回答とは言えないものと感じるが、それでも一定の議論はしたので次に進もうということかとおもう。願わくは日本カーリング協会の方が、競技団体としてよりプロフェッショナルになりカーリングが冬のスポーツとして根付くことにならんことを。

 

男子カーリングチーム SC軽井沢クラブ 公開質問状及び回答書

男子カーリングチーム SC軽井沢クラブ 再回答書