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椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

笑うこと

 テレビ番組で陸上競技の指導者である金哲彦さんを取り上げていて「笑顔で走るようにアドバイスしたら実際に結果が良くなる」という話しをやっていた。精神論のはなしではなくて、実際に子供達に笑いながら走ってもらうと全般的にタイムが良くなる傾向にある、というのを実験していた。

 

 それをきいて佐々木ささき将人まさんど師範のことを思い出した。

 

 私が大学生であったころ和歌山大学合気道部や大阪女子大学合気道部が佐々木将人師範門下だった。大阪女子大合気道部(現在の大阪府立大学女子合気道部)とは合同稽古をしていたりしたが※、和歌山大学と母校大阪市立大学とは合気道部としてはあまり交流はなかった。ただ一度、春合宿が同じ宿になったことがあった。場所は串本町だっただろうか。

 

 お互いの稽古をみるということはほぼなかった記憶があるのだが合宿の最終日において隣の道場で稽古……となって、和歌山大学の稽古の最後の礼の際に主将の方が「笑え!」というと部員全員が高らかに笑って稽古を終えるというのを横目でみていた。その時に別段驚かなかったのは佐々木師範がそのように稽古の最後に皆で笑うように言われるという話しだけは耳にしたことがあったらしい。

 

合気会本部道場で長らく指導師範を務め、土曜日の一般クラスを担当した。重厚かつ冴えのある技術と分かりやすい解説、また同時に軽妙洒脱なユーモアと苦労人としての人生経験に裏打ちされた独自の精神講話で人気を集めた。武道の稽古でありながら佐々木の担当クラスでは常に笑顔と笑い声が絶えず、時には一時間の稽古時間全てを講話で終わることもあった。稽古の締めは佐々木が「明るくなければ合気じゃない。笑え!」と唱え稽古者全員で「わははははは」と大笑するのが決まりだった。2004年(平成16年)に勇退

佐々木の将人 - Wikipedia より 出典:季刊『合気道探求』第39号 出版芸術社、2010年、ISBN 4882933861、60頁 

 

  佐々木師範はお会いしたことがあるかどうかはっきり覚えていない。大学合気道部の稽古にも指導に来られるようなことがあったはずで、きちんと見取りさせていただいたことはないにせよすれ違うようなことはあったかもしれない。

 

  笑うことでストレスを低減するし免疫力も上がる、などという研究結果が数値をもって語られるようになる前から、「笑顔でいるのが良いよ」「それが型であっても笑顔になると良いことがあるよ」と佐々木師範は実践してみせたと言える。先見の明をお持ちでおられたのだ。陸上競技の例をみると、笑うことは稽古の内容にも良い影響を及ぼし得るのかもしれない。

 

  先に書かせていただいた藤平光一とうへいこういち師範も佐々木将人師範も中村天風さんの門下でいらした方なのだが、同じ合気道を稽古されても技や稽古のありかたに違いが出るのが面白い。なお正しくは佐々木の将人師範、が正しいようなのだが昔お呼びしていたようにあえて書かせていただいた。そのようにお名前をされていたことも、2013年に逝去されていたことも知らずにいた。

 

 

※大阪女子大との合同稽古については、私より数年先輩だった方々によるわりと健康的な下心により開催に漕ぎつけたように聞いている。現在はやっていないだろうか。

 

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