仏式のお盆、山口にて

 昨年末に妻の父親が亡くなっていて、新盆を済ませてきた。

 
 以前書いたことがあるのだが椋は神道なもので大多数のひとが経験するお寺さんの葬儀やお盆といったものについては甚だ疎い。ずっと実家から離れて暮らしてきたため分からないという言い訳もあるのだがそもそも冠婚葬祭の常識に無頓着で周囲からみると眉を顰められても仕様がないような振る舞いに時々至ってしまうもので今回も妻や妻の実家に習って邪魔にならないようにお手伝いするよう務めた(つもりである)。
 
 今回は他のお宅に拝みにあがったりもしたので気がついたことをいくつか書いておきたい。
 

迎え盆

 8月13日の朝、7時台に家族総出で墓に参り、ご先祖を家までお迎えにあがる。神道の場合この時間が明確でなかった気がする。神官さんと一緒に墓に言って祝詞をあげていただくこととなっていたがご都合で遅れたため墓に参らずに祭壇を拝むことになってしまったことがあった。
 
 どのお宅もお墓に参られるものでこの日は早朝からあちこちでご挨拶をするようになった。
 

灯籠

 お盆の際は仏壇とは別に盆棚、あるいは精霊棚を設けて亡くなったものの霊を家にお迎えする。棚の前に盆提灯を飾るが華やかなものだな……と改めておもった。須佐で曹洞宗の実家では吊り下げる形の提灯を二対用意したが、徳佐の祖母方の親戚では畳に置くかたちの盆提灯を、灯籠でお寺の参道をつくるかのように盆棚の前に並べておられた。神道の灯籠は色が入っておらずシンプルなもので、一対しか置かない。普段椋家の祭事をやっていただく神官さんのお宅にも新盆で参ったが、うちのものと全く同じ形の灯籠だった。
 

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 こちらは神道の灯籠。比較用に。
 

お線香

 曹洞宗では線香は立ててお供えする。
 
 浄土真宗では二つに折って火をつけたものを横に置くというふうに聞いた。萩からお参りにきてくれた友達は折ったと言っていた。
 
 なおこれは余談だが、ちょうどこのお盆中に盆棚や仏壇の蝋燭や線香の火による火事についてテレビ朝日枚方寝屋川消防組合の研究結果を紹介していた。そばにあるものに燃え移ったり倒れてしまって……というのが従来考えられていた原因だが、蝋燭立てに水が溜まっている場合火の消え際にはぜて火元になる場合があるという話しだった。それを知っていた訳ではないが蝋燭は都度都度消し、線香も倒れないように注意していた。我が子らも手で蝋燭の火を消す要領を覚えた夏だった。
 
 

初盆のお参り

 初盆の家には親類縁者に限らず盆棚を拝みに来られる。今回実家に戻ったのもお参りに来られる方を迎える準備があったからで、お供えを持って来られるのでお返しも用意する。お素麺や海苔など日持ちがして軽いものをお返しにすることが多い。
 
 二年目以降は須佐では盆棚を拝みに来られることはないが、前述の萩の友人は新盆でなくともお参りに来られるとのことだった。だから家を空けることができず、来てくれたのは送り盆前の15日だった。
 

送り盆

 迎え盆と同様に朝7時台にお墓にお参りし霊をお送りする。今回は雨が降っていたのと、私と子ども達が寝坊したのとで岳母と妻だけで済ませてもらった。
 
 なお昔よくお盆の風景の絵として茄子や胡瓜に割り箸で足をつけて馬や牛をつくって盆棚に供える様子を見たが、山口では一度も目にしたことがない。東京の友達に妻がきくと迎え盆の時は早く家に戻れるよう馬をつくり、送り盆の時はゆっくり帰れるよう牛を作るのだと聞いた。
 

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