先の先とか後の先とか

 6月8日(日)に有段者向けの講習会が東京武道館であったが今回は理由あって参加せずにいた。15日の大田区合気道会の稽古でその振り返りがあったのだが、関昭二師範の指導であったらしい。

 

 当日を再現しての稽古のなかで印象的だったのが正面打ち入り身投げで、特に正面打ちの捌きについての考え方。

 

 私は特に前提として説明がなければ、打ち突きは取り(技をかける方)が誘うものだという考え方で稽古する。関師範は正面打ちならば正面打ちをきちっと見極めて待ち、どちらかに入り身するよう指導されたようだった。

 

 2011年の関師範の全国合気道演武大会での演武かとおもうが Youtube でみさせていただくことができるが、演武はその正面打ち入り身投げから始まっている。

 


www.youtube.com

 

 上記の解説をうかがったうえでみると関師範は入り身に入る直前まで構えを崩しておられないように見える。

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 左足が入り身に入ろうとされている瞬間。この時点でも上体の構えは動いていない。

 

 

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 ここまで一気に入り身される。

 

 同じように稽古したのだが、直前まで見極めて入り身しようとするので動きに無駄が出てしまい、相手の背後に入り身した時に離れ過ぎてしまっているのを指摘された。離れたところから相手を投げようとするとへっぴり腰になってしまう。

 

 武器取りの技のとき、すなわち相手が太刀ないし短刀を持っている前提で入り身をするのをかつてよく稽古した。この場合手刀を出すと誤って切られてしまうことを防ぐため自分の身体に隠して相手の背後まで入り身する。この考え方では相手から離れずに稽古できていたような気がする。しかし関師範は正面打ちをしっかり待った上で入り身の際にはきちんと手刀を合わされているのがキャプチャーをみても分かる。わずかな動作だが、それがあるだけで自分は全然出来なくなることに改めて気がついた。

 

 そのような用語はおそらく使われていないだろうが、関師範の説明される捌きをあえて定義すれば後の先、ということになるだろうか。私の普段の技の入り方についての考えは先の先だという定義になる気がする。ただ合気道でこれらの用語を使うのをあまり聞いたことがないので各師範の先生方がどのように指導されているのか興味を持った。私としては冒頭でも使った「誘う」という言葉、あるいは「導く」という言葉が合気道の考え方に合っていて、技術用語として他の武道で使われる「後の先」「先の先」というのはあまり使われていないのではないかと考えるがどうだろうか。