椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

四方投げの語源についての私見

 普段以上に合気道を稽古したり、合気道に興味を持って話を聞いたりしたことがある人でないとぴんと来ない話題ながら、私がずっと違和感を持っている件なのでひとつここで書いておくこととする。

四方投げ」という技の名前の語源についてのお話しである。

 合気道の稽古においてよく「四方投げは、四方に投げることができるからこの名で呼ばれる」と説明される。実際私も複数の師範がこのように説明されるのを実際に聞いてきたのだが、私はこれに異論があり、説明をきくたびに違和感を感じてきた。

 ただ現実には「四方に投げられるから」という語源が通説として扱われているように思えるので、以下私の説はあくまでも諸説のひとつということになる。より明確な典拠などご存知の方があれば、書籍であれ口碑であれお教え頂ければ幸いである。

 私の考えは「剣で四方を切り払う時の動きを使って投げるから四方投げ」である、というもの。

 毎度引用する植芝盛平翁先生の朝日新聞社での演武映像では、7分30秒からこの剣の素振りを翁先生がみせて下さっている。

 齊藤守弘師範にも剣を構えたところの斜め前から手首を抑えようと掴まれた状態から、四方投げをやって見せて頂いたことがある。探したら同じ説明をされている動画があった。開始1分のところ、剣を持っての技と徒手とを並べての編集になっていて分かり易い。

 動画中齊藤師範は翁先生が(おそらく『武道』の中で)「相手の腕を剣と心得て動作するを良しとす」と書かれている、と説明されている。四方投げの場合は剣にて四方を切る動作から生まれた技だと私は思うのだが如何だろうか。

 ちなみに四方どこにでも投げられる、というならばむしろ回転投げの方が相応しいように思う。相手を導いて崩す長さで制御すれば入り身投げ小手返しも四方に投げる先を変えられるといえば、変えられる。むしろ四方投げは、相手の受け身を考えれば投げる方向を変えるのが容易い技とは言えないように考えている。

 乱取りにおいて相手の前に別の受けを投げて牽制する、というのも基本的な技術だとおもうが、その時に四方投げを使うかと言われると私は小手返しか天秤投げを多用しているように思う。如何だろうか。

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