疣と魚の目

 約二ヶ月に渡り長男を大森駅前のたんぽぽ皮膚科に連れて行っていた。イボの治療のため。

 足の裏、拇指丘のところにイボが出来ていてその治療。実は最初、これを魚の目と勘違いしており、長男は自分で薬を塗ったり皮膚を削ったりしていたため手の指にもうつってしまっていて、そちらも症状は軽微だったので先に治ったが、治療してもらっていた。同じような勘違いを防ぐべく、共有しておこうとおもう。

 このイボというのは「ヒト乳頭腫ウィルス」による「尋常性疣贅(ゆうぜい)」というのが正式な病名ということになるらしい。「ヒト乳頭腫ウィルス」はたんぽぽ皮膚科でもらった説明パンフレットに書かれていた名前で、「ヒトパピローマウィルス」と横文字で呼ばれることもあるらしい……といのは家に帰って調べて分かったことだった。

 ごくごく感染力の弱いウィルスで、通常は早めに治療すれば恐れるようなものではない。ただ長男がなってみればご近所のお兄ちゃんお姉ちゃんぐらいでやっているひとが結構いることを教えてもらうこととなった。体のあちこちに出来て大変な目に遭われた、という例も一例聞いたがこれは稀な例であるようだった。

 治療法というのが、液体窒素を吹き付ける、ないし綿棒で押し付けてイボを凍らせる。これを皮膚科では「焼く」と表現していた。「焼いた」ことによってウィルスは弱っていく。そして硬化した皮膚と一緒にウィルスがいる病変部を削ってもらっていく。削るのは自分ではやらせないようにし、病院で見てもらいながらやっていった。

 長男やご近所の兄ちゃんらにきくと実際はこの治療かなり痛いらしい。液体窒素を吹き付けられている間、長男は我慢しながら思わずガタガタ体を震わせるのが常だった。ただ、さすが小学校三年生ともなると泣かなくなったのは褒めてやったが、我慢せずに「イタイ、イタイ」と言って回ってはいた。ただ、一度医師が液体窒素を軽く触ってから施療されたのを見たことがあって、まるで天麩羅やさんと油の関係みたいだと感心したことがあった。

「焼いた」あとは火傷の薬をもらって、耐久性の強い絆創膏を貼っておく。それは長男が自分でやって(こういうところが長男はきちっとしていて忘れずにやりおる)地道に直していくこととなった。通院は週一回か隔週で、気長に通うよう最初の診察で言われたが、その通りになった。

 最初に親が「魚の目だ」と誤判断したので余計に痛い目に遭わせることになったのは申し訳なかった。見た目が同じようだったので勘違いしたのだが、魚の目はうつるものではないので、自分で判断せず早めに皮膚科に行くのが最良の判断だ、とこのたび分かった。