尾崎士郎記念館に迷い込む夜

 東京から関西など他地域に出張のときは、よく外で食べて帰る。それ以外でも、たまに「今日は食べて帰ってきて」と家内から言われて外食することがある。それはそれで、普段気になる店など行ってみたりする。

 本日もそうで、大森まで帰ってきてジャーマン通りの大森駅近くにある「千成飯店」に行ってみた。常に客が入っているのでどうなのかとおもい、ラーメンと餃子を食べてみたが平均的においしかった。むしろ八宝菜とか、野菜炒めとかを頼んだ方が良かったかもしれない。

 それはそれとして、食べ終わってジャーマン通りをふらふらと歩いて帰っていったが、悪い癖で普段通らない、一本入った通りを歩き始めてしまった。ジャーマン通りなかほどにある「山王ダイヤモンドマンション」の裏から山王一丁目の中に入り込んでいく道に、ジャーマン通りから離れてしまうと知りながら迷い込んでいってしまった。そしてふと、普通のお宅にしては門が立派な一角があるとおもったら「尾崎士郎記念館」の前に来ていた。

 山王を歩いていて、掲示板などに「尾崎士郎記念館」がオープンした旨を知らせる町内会新聞が貼ってあったが、尾崎士郎に興味がないので場所を確認しようともしていなかった。実際、ついさっきまで尾崎士郎尾崎一雄を混同していたことに気がついていなかったくらいだ。尾崎士郎氏の作品は私は多分一編も読んでいないかとおもう。

 それでも何も考えずにたどり着いてしまうというのは、いっぺん読んでみぃ、というお告げでもあるのかもしれない。そのうちに。

 取り急ぎは、いつもお世話になる「馬込文学マラソン」さんのコンテンツを読ませて頂くこととする。

尾崎士郎『空想部落』を読む - 馬込文学マラソン

作家別馬込文学圏地図「尾崎士郎」

 辺りはへぇぇ、と見上げてしまうような立派な邸宅が並ぶ、山王草堂の裏あたりの高級住宅地。大田区というと庶民的なイメージばかり持つ人がいるようで、先日も大阪でそういう話になった際「でも田園調布も大田区じゃん」というと世田谷区じゃなかったんだ、という答えが返ってきたくらいだった。尾崎士郎記念館を訪れるひとが増えて、ひいては大田区にもいろいろあるとわかって頂ければよいのだが、どうだろうか。

 住宅地のなかを歩いていき、山王草堂の横まで出てきて馬込銀座に戻っていった。夜桜が咲き始めていた。