里帰り出産のリスク

 フェリーに乗っていた妊婦さんが産気づいて緊急搬送され、無事に出産できた、という話をニュース記事として知った。下記はその一例。

洋上フェリーで「産まれる〜」…海保、救急リレーし出産 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 テレビの「朝ズバ」で見たときに予定日から19日だか早くに出産となった、という情報が出ていたのだが、家内曰く「そもそも出産1ヶ月前きってフェリーに乗るなんてありえないでしょう。飛行機だったら断られるよ」と言ってそうそう、そうだった、と思い出した。

 私は小学生から高校生くらいまでのころ、新聞記事のスクラップが記事で、その時に切り取った記事の内容がなにかに引っかかって蘇ってくることがある。

 長男がまだ家内のおなかにいたときに「里帰り出産にはリスクがある」という研究結果発表が記事として出たことがあったのを思い出したものだった。出産前に環境が急変することが、母体にも胎児にもよくない影響があると考えられる、という内容だった。

 うちのこども二人はどちらも豊中の上野小学校近くにあるたかせ産婦人科で妊娠時期前半は診て頂き、出産予定日3ヶ月前をめどに家内を実家に帰らせた。どちらも飛行機での移動だった。「飛行機だったら断られる」はこの時にANAの係りの方に説明を受けたことを覚えていたものだったかもしれない。

 上記新聞記事にせよ、テレビの取り上げ方にせよ、ちょっと珍しい出来事というような扱いだった。病院で受け入れられなくて患者が死亡された事例と対比して緊急医療が機能した例、という取り上げ方でもない。そういう普段の報道内容との関連づけながら報じるのならばわかるのだが、そういう志をいまの報道組織に求めるのは無理なことか。

 今回のニュースでなら、緊急医療との関連を問うよりも、そもそも緊急医療のお世話にならないように若い夫婦に呼びかける機会と捕らえるのが一番役に立つ。

 同じような指摘をされている医師の方の文章をみつけた。

妊娠38週で船に乗るな! - うろうろドクター - Yahoo!ブログ

 今回騒ぎの主であった22歳のお母さんとご主人を責めるのは本意ではないが、駆け込みで出産のため産婦人科にくるとか、出産費用を払わずに産み逃げするものさえいる今のご時世なので、今後の出産を迎えるご夫婦に同じようなことがないように……と広く訴えかける機会ととらえるのが一番自然だとおもう。

 うろうろ先生の指摘されているように「美談づくり」により妊婦に不利な(医療に携わるひとに重要な)情報が意図して隠されているならば、いったい何のための意思だろうと考え込んでしまう。