椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

怪談ばなし その1

 先日「奈良の実家がなくなる」話を書いたついでに、そこであった不思議な話を記録しておこうとおもう。怪奇現象とかいうふうに書くと上岡龍太郎さんに一喝されそうだが(そもそも読まれないだろうが)、「こんな不思議なことがあった」という話として。私の夢であったり、家族の共同幻想かもしれないものだ。

奈良の実家がなくなります - 椋箚記

 高校生ぐらいのころではなかったかという気がするが、それは二度とも奈良の実家の二階、私の部屋のベッドで寝ていたときのことだった。ちなみに二階には和室がひと部屋、洋室がふた部屋あって私と妹の部屋になっていた。

 最初は夜中にふと、目が覚めた。

 目が覚めた瞬間に確信的に(部屋のなかを誰かが歩いている)とおもった。

(泥棒だ)と思ったもので、小学生のころに使っていた野球のバットがどこにあったっけ、あれで泥棒に応戦しよう、などと考えて意を決して起き上がろうとしたら、体が動かなかった。

(これが金縛りっちゅうやつか)とおもって、もがいているうちに寝てしまい、次に気がついたら朝になっていた、というものだ。

 これだけだったら、思い過ごしですんだとおもうのだが、2回目はより強烈だった。

 寝ていたら、誰かが足元にどさっと乗ってきたのだ。

 妹がトイレに起きて、寝ぼけて部屋を間違えたのかと思い蹴っ飛ばそうとしたらまた金縛り状態で動かないことに気がつき、焦った。なんだか分からない誰かが、自分の上に確実に乗っかっている。しかも、もがいているとちょっとづつ、上に這い上がってくる気配がある。さらに焦った。

 なんとか動かんともがきまわっているうち、うめき声がかろうじて出た。その途端に体が動いて、楽になった。しばらく経って恐る恐る布団の上をのぞいたが、もちろん誰もいなかった。

 それだけのことだった。

 そのことは家族に話したが、母親などは笑って相手にしない風だった。当然といえば当然だが、もうしばらく経ってからその母親が言うにはその後他の家族全員も不思議な目にあったということだった。その詳細は特に聞いていないが。

 その後、例えば奈良の実家に普段誰も住まなくなってから、私は一人で何度か泊まったことがあるが何も感じなかったので、もう私に悪戯した何者かはもういないのかもしれない。

 いずれにせよ家人は怖い思いなどしたものの、そんなに悪意を感じなかった、というのは共通認識となっており、仮に何かがいたとしても(居たということになっているのだが)構ってほしいくらいのもので悪いものではなかったのではないか、ということになっている。

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