ガザに目を向けよ

 この年末、すぐれた報道番組を見る機会もあるのだが、多くは不況について取り上げているところが多いかとおもう。今後の我々の生活に直結することから考えてもこれは妥当なことかとおもう。現在の内閣について、麻生太郎氏が福田辞任を受けて自民党総裁及び内閣総理大臣の職に就いたことに選挙以外の目的があったとするならば、9月から今日まで具体的な対策を採れていないことは犯罪的なことだ。そんなに高い収入を得なくとも、多くのひとがやりたいことをやって精神的に豊かに生活できるのがベストだろうと思うが、そんな理想を語るどころではない状態が続いている。一部の既得権益者やその取り巻きが逃げ得を狙っている感が強い。

 それはそれとして、海外に目を向けた時に最も重いニュースはイスラエルによるガザ空爆かとおもう。こちらについては相対的に報道される時間が少ないが、イスラエルにより宣戦布告があったとみてもよい状況であり(アルジャジーラも Gaza War という表現を使っている)もっと詳細に日本でも伝えられなければならない状況と考えている。それも太平洋戦争における真珠湾攻撃よりよほど卑怯な奇襲攻撃と評価しなければならないのではないか。

 自分たちの生活がまず優先だろうから、ということで不況や派遣解雇について報道されるというならばなんとなく説明された気分にならないではないが、その年末特番あとで放送してガザについて緊急特番組めばいいだろう? というのが正直な感想である。もしイスラエルの行動を正当化するような欧米の工作にあっさり屈しているのだとすれば報道に携わっているひとはプロフェッショナルとして恥じるべきだ。今に始まった話ではないが。

 wikipediaで「ハマース」の項を参照すれば、パレスチナ側からの発信であるにはせよハマース(イスラーム抵抗運動)がテロリズムばかりを行っている訳ではなく、イスラエル人(ユダヤ人)によるパレスチナ人殺害数の方が圧倒的に多いという情報が参照できる。

ハマース - Wikipedia

 wikipediaで参照元となっている記事の掲載元Electorical Intifadaとはパレスチナ支持の活動家ネットワークによるメディアであるらしい。英語だが、下記に一部記事の日本語訳があることを見つけた。wikipediaで引用されている記事の訳はなかったが、今回のガザ空爆については複数の記事の概訳があった。訳がなくとも義務教育を受けていれば、オリジナルのサイトを参照して何が起きているか感じられるはずだ。

Electorical Intifada

The Promised Land

 中東の難しい政治駆け引きについて私は誰かに説明できるほどの知識を持ち合わせていないが、これだけ残虐な空爆行為が国際的に非難されずにことが進んでいるということは、イスラエルの背後に戦争を望む組織があり、おそらくはそのひとたちは武器の売買により巨利を得ることができる立場にあり、その意向を受けて次の戦争が引き起こされたとみてよいのではないか。

 一般市民、特に子供や年長者が無差別に殺戮されるような攻撃が正当化されることを見逃してはならない。太平洋戦争末期において、日本は無差別の空爆を複数都市で受け多くの人が血の涙を流したのではなかったか。軍部の一部に無謀・無能があったにせよ無差別空爆の非は攻撃側にあった。

 今のところ日本が支援を表明したり、空爆を非難したり、何らかの動きを示したと聞いていない。空爆は27日からというから3日間態度を表明できていないのだ。ここでもやはり日本政府は迅速な動きができていないことを示している。


 以下はアルジャジーラ発信の映像。亡くなった方やけが人が出てくる人によってはショックの大きいかもしれない動画だが、それを留意のうえ見てほしい。

12月31日当日追記

 書き終わってから麻生太郎首相がイスラエルのオルメント首相に直接電話で攻撃停止要請と人道的支援策を伝えたとの記事が出た。

時事ドットコム

 遅い。しかもオルメント首相は「攻撃は市民を守るために行っているもので、民間人に犠牲が出ないように努力している」と回答した、という記述で終わっている。それを鵜呑みのまま報道してどうする?

「市民」というのはイスラエル市民を指すだろうが、数の問題ではないにせよ今まで殺されてきた数は圧倒的にパレスチナ人の方が多いわけで、なぜそのことと併せて報道しない?

「民間人に犠牲が出ないように努力」していないことは上記動画報道で子供たちが犠牲になっていることを見ても明らかである。パレスチナ人の子供はすべてテロリストだ、とでもこのユダヤ人に強弁させておくのか?