自衛隊リンチ殺人
自衛隊で、リンチにより隊員がひとり殺されたというニュースを見た。
「訓練だった」とか「異動のはなむけだった」というコメントがニュースで報じられていたが、本当に「はなむけ」なんぞと言ったのかどうかわからないが日本の組織によくまかり通る言葉の遊びだ。
こと武道に関して、私は「体罰はあってはならない」ということを何度か書いてきた。今もそれは変わらない。
今回の格闘訓練なるものが武道か、と問われれば見ていないながら否と答える。柔道では乱捕り稽古があると『帯をキュっとね!』(河合克敏)で読んだが、1人に数人が何分かづつ、順番に当たっていくものだった。合気道では乱捕りで3人取りというと、何分かごとに相手が増えていって最終的に3人を相手にする稽古になる。
いずれも、型稽古で基礎が出来ていて、受身も取れるレベルにあって、そこから更に上を望むための稽古である。目的に沿った取り決めのうえに行われるものだ。
死ぬようになるまで殴る、というようなものはスポーツにも武道にも格闘技にも、存在しない。
現在大相撲時津風部屋での力士死亡事件の裁判中だから当然比べられる。同じように教官や殴った方の隊員は裁判にかけられなければならないが、どうやら捜査するのが警察でなく警務官(自衛隊内の司法警察官)が担当するらしく、身内が本当に調査できるのか、という指摘が既にあがっているらしい。継続してみていないと、本当にうやむやにして自衛隊内で殺人者が安泰に生き抜けるようなことにされかねないので注意が必要。今の金融不安とセットでアジアのどこかで戦争を起こす動きがあればなおさらうやむやになりそうだ。