萩市博物館がいろんな面で良かったことについて

 一昨日は家族で萩に行き、萩美術館(浦上記念館)で安藤広重の版画の展示を見(私が美術館に行くのが好きなので)、萩市博物館で「風雲!昆虫城」という展示をやっているのを子供に見せにいった。

 行ってみて驚いたのだが、菊屋の屋敷から堀内の方に行った田中義一の像のあるあたりがガラリと変わっている。須佐に帰ってきたときに道が良くなっていたのに驚いたのだが、市内も観光に便利なようにだいぶ整備を進めているらしい。田中義一の像の前に堀が通っていて、そこら辺までみやげもの屋があったはずなのに綺麗になくなって駐車場になっている。おかげで堀内など景色のよい辺りが散策しやすくなっている。この駐車場は博物館と一緒につくられたらしい。ちなみに堀沿いも道が広くなり、堀は遊歩道が作られてこれも綺麗になっていた。先日(あれ? 閉店したの?)と心配した「あじろ」という割烹の名店が萩にあるのだが、この堀沿いに広く立派になって移転しているのも見つけた。

 駐車場のそばにある和窯(やわらぎよう)という萩焼をおいてある店があり、家内がしばらくそこで買い物をしていたので銅像の公園で子供を遊ばせたのち、博物館に。入口を間違えて右回りに行ってしまったので遠回りになった。そのかわりに博物館ができても堀内の景色がちっとも損なわれていないことを確認しながら歩くことができた。暑いのは難儀だが、夏の空の下の堀内あたりの町並みはどうしようもないくらいにうつくしくてほっとする。

 歩きながら家内と「博物館のある場所、前はなんだったっけ?」と話したが結婚前まで萩で働いていた家内も思い出せない。「ケーブルテレビの事務所があったような気もするけど、違うかも」という程度。広い敷地は白壁に囲まれていて、博物館も平屋建ての日本家屋調に作られていてお世辞でなく綺麗な建物だ。平成十六年にできたというが、新しいというだけでなく敷地も含めてよくこんなに周りと統一感を保って建てたな、と感じる。

 博物館では明治維新の功労者について紹介したり、萩市の海生動物を展示したりの常設展と、子どもたちお目当ての「風雲!昆虫城」の展示を順に見ていった。昆虫の標本をずらっと並べたコーナーで子供たちが虫の絵を描いている間標本を見ていたら、博物館の方が「これは全部、萩近郊で採集したものなんですよ」「特に甲虫の種類が豊富なのが特徴です」と説明して下さった。海の生き物もそうだが、大陸にも比較的近いし海流も千島海流と黒潮からの海流が通るので自然の面からも豊かな土地なのだ、と普段気付かない観点を知った。

 その他外国産のカブトムシやクワガタの展示もあったが、外国産種による生態系の混乱についても、展示されていたし、前述の方もその点にまで私に話して下さった。子供を遊ばせておいてよほど面白そうに見ていた大人だったらしい。ハンミョウの標本群をみて「あ、やっぱ東京のうちの庭にいるの、トウキョウヒメハンミョウだな。ニワハンミョウじゃないや、大きさが違う」などと言っていたのだから。

 博物館にもショップがあり、ソフトクリームなど食べるものもあったのだが自動車に乗ってから長男が「ソフトクリームたべたい」などと言い出したため、松陰神社に立ち寄ってソフトクリームを買った。

 ソフトクリームとは別のみやげものやで偶然に、家内の知り合いに会った。みやげものやに居られたのだが、家内が「これから忙しいんじゃない?」と聞くと「そうでもない」とのことだった。松陰神社といえば萩で外せないスポットだが、そこですらそうなのが萩の観光事情ではある。上記博物館や、その博物館を中心にした「萩まちじゅう博物館」なんてのはいいアイデアだとは思うが、まだ十分にアピールできていない状況とみえる。

 萩は江戸期の地図を見ながらまち歩きができるくらい変わっていなくて、「まちじゅう博物館」なんてのは待ってましたという企画。堀内あたりの街並みの良さは地方都市といえど奇跡的なものだとおもっている。上記のように海流の関係もあり魚もおいしい。明治維新の事歴もある。燃料費などの高騰から旅行も控えめになってきている今、九州や中国地方、関西など近場から旅行にきてほしい。

 今日はうちの家族と父親で、萩市内で焼肉を食べてきた。ささやかな経済貢献。