柔道のオリンピック代表選考がおかしかった件をこのタイミングで蒸し返す

 北京オリンピックが始まり、柔道の試合を楽しみに見てしまった。谷亮子選手が48kg級銅メダル。平岡拓晃選手が60kg級一回戦敗退。

 今後他の選手がメダルをとっていけば忘れられるかもしれないが、柔道、ことに女子柔道のオリンピック代表選考は基準がうだうだだったことが当初から指摘されており、はてさてちゃんと全日本柔道連盟は組織として責任を取るのかな、と今から注視している。もちろん谷亮子選手はメダルを取ったのだからいいじゃん、という意見もあるだろうが、本人も金メダルを取ることを公言してきた訳だし、実際試合後嬉しそうでは全くなかった。

 この代表選考基準があいまいなことについては、増田明美さんがわかりやすく書かれている文章を見つけた。昨年四月に書かれたものだ。

増田明美's Homepage【納得できない柔道の選考】

 要は男子と女子で選考基準にバラつきが見られ、特に女子は過去の実績が必要以上に重視されている、ということ。谷亮子選手を取り上げれば、選考対象の大会である全日本選抜体重別選手権で2007年は福見友子選手が優勝、2008年は山岸絵美選手が優勝している。どちらかが代表に選ばれるべきなのに、そうではなかった。たとえ谷選手が上記文章が書かれた後の2007年の世界柔道選手権では優勝していたとしても、これは選考にあたっての優先順位がどうなっていたのか、という話である。

 これは福見選手や山岸選手がかわいそう、とか、選手生命を考える時……というような観点で語るべきことではない。まがりなりにも代表として大会に出場する以上、一番優れた選手が出場するのが筋で、その「一番優れた」という判断基準が全日本選抜体重別選手権であるならば、その判断基準に沿わないで選考して結果がでない時その判断をした人が責任を取らなければならない。何しろ国の代表なのだから国民への説明義務があるし、大会に出場する全国家、全選手への礼儀でもある。そういう話だ。

 平岡拓晃選手のことを調べていたら、全日本選抜体重別選手権で野村忠宏選手を破って優勝している。しかし代表選考会では野村選手をオリンピック代表に推す人数の方が多く、紛糾したとのこと。最終的に全日本柔道連盟の幹部層で判断され、平岡選手が代表に選ばれた。それならば、ルールに沿っているし少なくとも納得できるのではないだろうか。今回期待とはほど遠い結果だったとしても、若い平岡選手がそれをどのようにとらえ、どのように生きていくのかということは本人次第ではまだ希望が見出せる。

 男子では筋が通されたように見えるのだが、何故女子はそうでなかったのだろうか。「代表選考会」を構成するメンバーがいまいちわからないのだが、もし全日本柔道連盟の組織のうち「大会事業委員会」がそれに当たっているのなら、連盟のサイトからも名簿が取得できる。

 で、全日本柔道連盟ともなるとスポンサーが多く、その中にはフジテレビなんて企業も入っている。マスコミの意向が強く入っていて、代表選考会のメンバーにマスコミからの協力要請とか、そういう活動が行われているのでなければいいのだが、どうもそう見えてしまう。

 それ以前の問題で、勝手に代表選考会の方々が過去の実績重視な考え偏重なのだったら、なお根は深いのかもしれない。


(2008/08/10加筆)
 あとで調べたくなった時用に、全日本柔道連盟の大会事業委員会を控えておく。
 ↓
(2009/02/12加筆)
「柔道通」さんからコメント欄にて「選手の選考をしているのは大会事業委員会ではなく強化委員会」との指摘を頂いた。

 改めて調べると、間接情報しか見つからなかったがサンスポの記事でこんなのがあった。「全日本柔道連盟は27日、東京・講道館で強化委員会を開いて北京五輪を総括した。吉村和郎強化委員長は……」と強化委員会が選考に対して責任を追っているように描かれているので、ご指摘が正しいと判断、訂正させて頂くこととした。ご指摘感謝する。

柔道強化委員 実績優先の代表選考を反省 ― スポニチ Sponichi Annex ニュース