ふたつの暴動

 SNS内で大阪は西成で13日から起きている暴動について書かれているのにコメントを書いていて、ふと気がついて下記のような内容になった。

 ちなみにこの暴動はおおごとだとおもうのだが、そんなにニュースなどで報じられているように見られない。秋葉原の通り魔殺人と岩手宮城地震についてがメインである。

 だが相次いで起こった西成の暴動と秋葉原通り魔殺人とは根っこが同じだということに、おもいあたった。

 かたや、日雇い労働者。かたや、派遣社員。賃金の低さ、仕事場での差別、厳しい労働条件。

 集団で警察に襲い掛かったのと、ひとりで無差別殺人に走ったのと、起きた現象は違ってみえるが動機の根源は同じ構図だ。

 だがどうも報道する企業はそういうことにしたくないらしい。そりゃそうだ、スポンサーとなっている企業に歯向かえない立場だから。

 情報源に直接あたっていないが、オタク評論家にマスコミから通り魔事件についての取材がたくさんあったが「アキバ系犯罪者の犯行」にしたい前提ばかりで閉口した、というようなことがあったらしい。

低気温のエクスタシーbyはなゆー: 秋葉原通り魔事件で露骨な世論誘導を狙う勢力の策動

 確かに、たまたまコンビニエンス・ストアで「女性セブン」(いま評判を落としている小学館刊)の6月26日号の表紙をみたら「■秋葉原無差別17人殺傷 アキバ系犯人とやじ馬不気味な共鳴」なんてあおり文句があった。いままで仕事としてマスコミに所属する方々がやってきたことを他の人もできるようになっただけだとおもうのだが。

 同じように、西成で暴動が起こっていることもこの地域の特性とでもして片付けたいところなのかもしれない。でも、日本における雇用のありかたに問題があり、その不満が噴出したととらえたほうが自然だ。

 西成のような簡易宿泊所が集まるドヤ街は東京の山谷(さんや)や名古屋の笹島くらいにしかないそうだが、派遣社員の方を含む非正規雇用の方は2007年の厚生労働省の統計だと1691万人で全雇用者の33%(「厚生労働省:平成19年版労働経済の分析(本文版)」より)。「暴動」を起こしかねない環境に置かれているひとがそれなりの規模でいる状態ならばいまの程度で済んでいるのが幸いなくらいで、実際はあちこちで既に暴発しだしているのをマスコミが一生懸命おさえているのが現状ではないのか。

 EUでは派遣社員(tenporary worker)と社員とを同じ待遇にするよう合意がなされたらしい。ちゃんと読めていないけどたぶん下記がそのことを伝えるプレス・リリース。EU諸国でも大きな企業はこの合意を歓迎しないかもしれないが、以前から議論されていて結局合意に至ったらしい。日本でも同様に、あるいはそれ以上の対策を採らねばならないのだが、行政も企業も掠め取ることを優先しているふうだから道は険しい。

EU Commission strongly welcomes agreement on Working Time and Working conditions for Temporary Agency Workers

 ちなみに、1990年西成暴動のニュース動画がyoutubeにあった。今回の暴動については、まだない。