椋箚記

主に合気道とまち歩きについて

知的英雄譚

 私は新聞の定期購読をやめて久しく、新聞の売り込みも全て玄関を開けずにお断りしている。で、情報はネットから取得する。

 それが珍しく、りんかい線の電車のなかで隣に立っているひとが読んでいる新聞で「万葉集」「大発見」という見出しが目に入り、お、とおもっていた。

 あとで調べたら、なるほど大発見。発見した栄原永遠男さんはは母校の文学部の先生だ。

紫香楽宮跡で万葉歌の木簡出土 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 今書きたい、書きたい、とおもってなかなか先に進めずにいるテーマが、万葉集と深く関わっている。そもそも万葉集って、どんなものだったのかという話も重要な視点なので、万葉集の成立前に収録歌が木簡に書かれていたというのは楽しいパラダイムシフトが起きたことになる。万葉集はおおきく四期に分かれると分析されているが、聖武天皇紫香楽宮を造営して御幸していた742年〜745年の短い期間は万葉集三期よりあと、大伴家持により(異説もある)第四期がまとめられるよりはまえになる。

 今回発見された木簡に書かれた歌は巻十六に収められているとのこと。本棚を探したが、よりによって河出書房日本古典文庫『万葉集』が上巻しか出てこず、巻十六が収められている下巻が買ったはずだが出てこない。第三期と第四期の境目の微妙な時期に編まれた巻十六がすぐに読み返せないジレンマに陥ってしまった。

安積香山 影さへみゆる 山の井の 浅き心を 我が思わなくに

万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫 古 6-1)

万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫 古 6-1)


万葉集 全訳注原文付(二) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(二) (講談社文庫)


万葉集 全訳注原文付(三) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(三) (講談社文庫)


万葉集 全訳注原文付(四) (講談社文庫)

万葉集 全訳注原文付(四) (講談社文庫)

 この木簡が万葉集のひとつの形なのか、万葉集の歌を目的あって木簡に書いたものなのかはこれからの研究だろう。ただ最初ただの木の削りくずくらいの評価だったものにこれだけ重要なことが記されていたので、今回のような形態の木簡を調査したら実は遺漏していた万葉集の歌が出てくるとか、わくわくするようなことが起こるかもしれない。このような発見の余地がまだまだあるのだな。

難波宮から大坂へ (大阪叢書)

難波宮から大坂へ (大阪叢書)

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