胡堂百話

 買ったはずなのに見つからない本というのがある。

 先日父親が奈良にある実家に行っていたので、もし見つかれば、と伝えた書名があった。

 野村胡堂さんの『胡堂百話』というエッセイ。野村胡堂といえば銭形平次捕物控の著者である。その銭形平次をまとめた「銭形百話」というのがあり、それに倣ってまとめられたエッセイである。

 高校生くらいの時にNHKで野村胡堂に取材した番組があり、それから興味を持って買ったのだが面白くてよく読んでいた。読み返したいのだが、持ってきている文庫本のなかにみつけられない。

 今は絶版らしく、アマゾンでも中古でしか出ていないようだ。野村胡堂さんは確か石川啄木と同郷で岩手の人だったが、エッセイの舞台は故郷の追憶以外については東京であり、東京に住んでいるいま、新品だったら躊躇せずに買っているかとおもう。

 なんとか出てこないものだろうか。