次男の胆力

 先週、2晩続けて子供を夜間救急外来に連れていく、ということがあった。

 ひと晩目は長男で、夜中に耳が痛いと泣き出した。4月末にも同じことがあったが、今回は泣き止まない。消防のコールセンタに電話し、耳鼻科はせんぽ東京高輪病院か広尾の日赤病院に医師が詰めているはず、と聞き、前者にタクシーで連れていくこととなった。
 着いたら以外にも長男は泣いたりせずに診察を受け、ちょっと拍子抜けした。長男は病院に来れば治るとおもっているのか、病院に来ると期限が治ることがあるのだ。中耳炎と診断され、痛み止めを処方して頂き帰ったが、帰りのタクシーの中で夕食を全部私の服の上にもどしてしまい、タクシーを汚すまいと焦る私はパニックに陥った。実際は汚してしまったのだが。これが23日の夜だったか。


 次の日の夜である。家内と次男はベッドに入り、私と長男はテレビで『トリビアの泉』をみながら大笑いをしていた。こんな緩んだ雰囲気の時に、コトは起こるもので、次男がベッドから派手に転げ落ちたのである。しかも、家内に呼ばれていってみると、頭を切って出血していた。柱の角にぶつけたらしい。血の量と傷の感じをみて、昨夏の長男の怪我を思い出した。

 今度もまたコールセンタで調べてもらい、大森駅前(海岸側、あるいは大森銀座側)の牧田総合病院にタクシーで次男を抱えていった。
 診て頂くとやはり傷が開いてしまっているので縫わねば、ということとなった。ここで意外だったのだが、長男の時には採用されなかった部分麻酔の注射が使用された。次男はおおきな白いバスタオルで動かないよう、固定されて縫われたのだが、もっとびっくりしたのが次男が泣かないし騒がないのである。私も次男に動揺がうつってはいけないと平気な顔をしていたのだが、寝かされる時少し嫌がるだけで、注射の時や縫われている時はじっと耐えていた。これが私の子供だろうか、と感嘆の念を内心抱いていた。

 その後すぐにCTスキャンとレントゲン写真まで撮って頂いたのだが、この時も次男は寝かされる時以外はおとなしく、機器の前でじっとしていた。結果、骨や脳内出血などの問題はなし。

 この間ずっとついて下さった看護師さんは、すごいフランクな感じのひとだったが、最後に抗生剤を私に渡す時に会話していて、ベッドに囲いを設置していないことを話した瞬間だけ「それじゃだめよ。実際に落ちるのなら、囲いをするか、畳に布団で寝かせてあげないと」とぴしゃっと言われたので、愚かな親としてはぐうの音もでなかった。あまりに見事な指摘だったので、家内にもその雰囲気が分かるように話して聞かせたら、さすがにしゅんとしていた。

 次男は早ければ明日、抜糸になるはずである。