期間限定で日本経済新聞を

 時々書くことがあるが、私は新聞をとっていない。時々私の仕事中に新聞の勧誘にくることがあるが、家内は「主人に聞いてみないと」としか言わないし、私は新聞の勧誘という業態は消費者問題の最大の温床であるうえに、新聞の役割の低下で死に体になっているという認識なので例え在宅中に来てもすべて断っている。

 数日前からライブドア社に対する証券取引法違反の操作、果ては堀江貴文社長の逮捕に至る新聞なりテレビの報じ方には私もうんざりする。どこ発のソースかも確認していないものだが、堀江社長の逮捕特番の視聴率がフジテレビの「西遊記」に負けたということをネタにしている記事をネット上で見かけたが、視聴者がテレビ報道に重きを置いていないことがひとつの形となって現れただけだ。それを更にニュースにしようとするのは恥の上塗りではなかろうか。

 堀江貴文氏が失墜したということを面白げに取り上げるのも、サラリーマンの記者が記事を書いているのか、サラリーマンを喜ばそうと記者が書いているのか知らないが、詰まらないことだ。逮捕された以上その評価に厳しさが加わるのは致し方ないし私も擁護する気にはならないのだが、本人はリスクを負って突っ走っていることがわかっていたはずで、リスクを負わない人間がそれを笑うという構図は情けないものでしかない。

 ということを思いながら先週からコンビニエンスストアなどで日本経済新聞を購入している。一番裏面の文化欄「私の履歴書」を北杜夫さんが執筆されているからだ。

 私が一番最初に自分の財布からお金を出して購入したのが新潮文庫の『どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)』だった。小学校高学年で、120円か130円だったかと思う。恐らく本箱を漁れば現物が出てくるはずである。(自分で本を買えるんだ)という何でもないことが新鮮で、その後北杜夫さんのものはエッセイ、小説とも結構読んだ。

私の履歴書」はネットでリアルに読めるのか探しても出てこず、そのうち本として出版されたり、T-Timeで読めるものがあったりするのでその形態で出たりするのだろうが、こういうものはすぐ読みたいもので、この欄のために神の新聞を買っている。今まで読んだエッセイに含まれている話のあるのだが、それを思い出して笑ってしまったりして、楽しみに読んでいる。今日の話は父君斎藤茂吉氏の話だった。